はじめの1巻:「俺たちの戦いはこれからだ」 勇者と魔王が市川でフリーター生活

武藤村石さんのマンガ「俺たちの戦いはこれからだ」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙
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武藤村石さんのマンガ「俺たちの戦いはこれからだ」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「ガンガンONLINE」(スクウェア・エニックス)で連載、千葉県市川市のアパートで同居する勇者と魔王のドタバタなフリーター生活を描いた武藤村石さんのマンガ「俺たちの戦いはこれからだ」です。

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 ある世界で、種の存続をかけて一騎打ちした勇者と魔王。ひょんなことから別世界の千葉県市川市にたどり着き、約半年が過ぎた。2人は共同生活を余儀なくされ、魔王が手に入れた特売のハムに喜び、集金におびえる質素な日々を送っている。しかし勇者が「魔王は世渡り上手だ」「何をやってもうまくいかない自分にうんざりだ」と嘆きだして……。

 ◇編集部からのメッセージ ガンガンJOKER編集部 河野謙一さん「昔すごかっただけの普通の人」

 以前に、歴史上の人物が現代にやってくるCMがありましたが、異世界から現代にやってきた人が、現代の文化に戸惑うというギャグマンガができないか……という話をしていました。で、“スクエニらしさ”という意味では、やっぱり勇者と魔王かな……と。そして、作家さんが千葉県市川市在住で、市川の程よい“下町感”みたいなものと、異世界の住人が意外と合うような気がする……と思っていただけたところが始まりです。

 主人公の勇者と魔王は、世界の覇権をかけて戦いを繰り広げていた、異世界では最高権力者だった人たちですが、ところ変われば、ただの人。ダンジョンの奥で手に入れた最強の武器も、たくさんの部下を率いてきたカリスマも、現代のフリーター生活ではなんの役にも立たないという、昔すごかった人として描いています。

 かつては最高権力者だったので、それなりにプライドが高いのに、でも今はなんの資格も持っていない普通の人で、そのうえお互い頼りになるのは、異世界で本気の殺し合いをしようとした相手だけ。すべてをはく奪されてしまった慣れない生活でうまくいかないことも多く、イライラしがちでケンカも多い2人が、いかに現代の生活になじみ、そして友情をはぐくんでいくか……というのが根底のテーマです。

 また、単行本をご購入いただきましたみなさま、ありがとうございます。特に、本八幡駅前などの、市川市の書店様でよく売れているとのことで、市川市のみなさまの郷土愛に支えていただいております。今後ともよろしくお願いします!

 ◇書店員の推薦文 南海ブックスの 岡本美紀さん 「自己中な勇者と実直な魔王」

 魔王はコンビニで働くまじめな青年で、社会のルールもちゃんと守るのに、いつも勇者に邪魔をされる。例えば、勇者がミイラごっこで消費したトイレットペーパーを買いに行く魔王。そもそもトイレットペーパーを買うことが何だか恥ずかしい魔王なのに、やっとお会計をしようとしたら、勇者に使い込まれて財布がカラだったり。初めは横断歩道の白線にまでビクついていた2人なのに、生活に慣れるにつれて、自己中心的で我慢しない勇者と、実直な魔王の本性がはっきりしてきて「本当にありそう……」なところが面白い。

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