映画「チャーリーズ・エンジェル」(00年)や「ターミネーター4」(09年)の監督として知られ、「The OC」や「CHUCK チャック」といった米人気ドラマのプロデューサーも務めるマックGさんの新作「BLACK&WHITE/ブラック&ホワイト」が全国で公開中だ。この映画は、1人の女性に恋してしまったCIAのトップエージェント2人が、犯罪者を追い詰めるかたわら、スパイならではのあの手この手を尽くし、その女性を射止めようと奮闘するアクション・エンターテインメント作品だ。マックG監督に電話で話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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今作は、最近あまり見られなくなった、主人公2人が活躍するバディムービーの形態をとっている。68年生まれのマックG監督自身、「バディものはすごく好き」だそうで、80年代の「48時間」や「リーサル・ウェポン」といった作品に影響を受けているという。同時に監督が念頭に置いたのは「トゥルーライズ」や「Mr.&Mrs.スミス」といったアクションとコメディーが混ざり合った作品。「このジャンルは、僕としても一番好きなジャンル。そうした先例に似たものが作れればという思いで挑戦したんだ」と話す。
CIAのトップエージェントのFDRとタックの2人を演じるのは、監督いわく「全身から米国人の血を感じる」クリス・パインさん(「スター・トレック」などに出演)と、「英国的でひねりのあるユーモアを持つ」トム・ハーディさん(「インセプション」などに出演)。2人について「どちらかというと、トムのほうがタフで、クリスのほうが少し女性の扱いがうまいかな」と分析。また、「息の合った相棒を演じてくれている。同世代の俳優の中で、一番伸びていく俳優だと思っている」と、彼らの今後の活躍に期待を寄せる。
そんな2人にアプローチされる美人の女性会社員ローレンを演じるのは「キューティ・ブロンド」などで知られるオスカー女優、リース・ウィザースプーンさんだ。彼女についてマックG監督は「とにかく頭がいい。才能も豊かだし美しい。だけど、その美しさに頼っていないところが素晴らしいんだ。あくまでも演技力で人を魅了する。しかも人一倍準備をしてくる。彼女のそうした姿勢が、周りの俳優や撮影クルーにもいい影響を与えるんだ。いわば撮影現場のリーダーといったところだったね」とベタ褒めだ。
ウィザースプーンさんにとって、本作は初のアクション映画だ。彼女自身が悪党退治に乗り出すわけではないが、自動車を猛スピードで運転したり、空中ブランコに飛び乗ったり、サバイバルゲームとはいえ、特殊な銃を手にしたりと、これまでにない動きを見せる。「リースは今回、スタントマンに任せずに、ほとんどすべてを自分で演じてくれたんだ。そのせいで骨折したり、指を切ったりもしたけど、その頑張りは、男性陣に負けないくらいだった」とその努力をたたえた。
最も危険だったシーンに、「車が横転しながら3人に向かってくる」終盤のシーンを挙げ、撮影当時について「ギリギリまで彼らを映し、車がぶつかる寸前にその場から逃がさなければならなかった」と振り返る。危険と隣り合わせだった撮影現場での苦労を語りながら、今作がオリジナルストーリーであることの難しさもまた口にする。マックG監督がこれまで手掛けてきた映画「チャーリーズ・エンジェル」や「ターミネーター4」は、いずれもテレビドラマであったり、シリーズものであったりと、ベースとなる作品があった。「最近は本当にリメークものや、小説やコミックなどの話題作の映画化が多い。オリジナル作品で肝心なのは、観客にいかに早くその内容を理解してもらい、物語の中に誘えるかということ。それは、クリエーターとして困難を要することだ。でも今作については、面白いアイデアだったし、僕自身、ほれ込んだもの。結果的にアクション満載のハートフルな作品に仕上がったと思う」と胸を張った。映画はTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開中。
<プロフィル>
1968年、米ミシガン州生まれ。カリフォルニア大学を卒業後、音楽会社のカメラマンをへて、Gap、コカ・コーラなど大手メーカーの宣伝キャンペーンの指揮をとり、注目される。ほかにもワイクリフ・ジョンさんなどアーティストのミュージックビデオを多数手掛けた。00年、「チャーリーズ・エンジェル」で長編映画監督としてデビュー。続編「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(03年)も監督し、09年には「ターミネーター4」を手掛けた。テレビドラマ界でも活躍しており、「The OC」(03~07年)、「SUPERNATURAL スーパーナチュラル」(05~11年)、「CHUCK チャック」(07~10年)「NIKITA ニキータ」(10~12年)などの制作も担当している。
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