マンガ質問状:「最上の明医」 作者は座骨神経痛で手術 近況は最新コミックスに

「最上の明医」(小学館)9巻の表紙
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「最上の明医」(小学館)9巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、ドラマ化された「最上の命医」に続くシリーズで、医学部に入学した主人公がさまざまな医師と出会いながら進路を模索する姿を描いた橋口たかしさんの医療マンガ「最上の明医」です。週刊少年サンデー(小学館)編集部の山田大樹さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 チンピラなのに引きこもりだった主人公・最上義明が、さまざまな困難に立ち向かいながら理想とする医者を目指すユニークな医療マンガです。

 主人公の義明はかなり破天荒な性格の持ち主ですが、医療で人を救いたい、という思いは人一倍強く、そのためなら努力を惜しまないという非常に魅力的な人物となっております。

 普通に医学を学んでいても身につかない知識を武器に、義明が医療に挑んでいく様は痛快であり、感動していただけるのではないかと思います。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 企画立案した編集者が、小さい頃に病気や事故で亡くなってしまった友人たちに対して「あいつらが生きてたら今はどうなっているんだろう」と考えてきたことから、このマンガは着想を得ています。

 作中(特に前シリーズ「最上の命医」)に「医者は目の前の命を救うだけじゃなく、その先にある無限の子孫や仲間を救う仕事」という考え方が出てきますが、まさに医療がそういった影響力を持つものだと伝えることを作品の大きなテーマとしてこのマンガは始まりました。

 なお、当初の構想段階では、この「最上の明医」こそが本編だったのですが、主人公の義明があまりに不謹慎なため命医の方から始めたという逸話もあります。

 −−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

 編集部あてに「自分も医者になりたい!」という子供からの手紙が届くことがあるのは非常にうれしいですね。

 でも、それだけに「医療的に矛盾のあること、不可能なことは絶対に描かない」という責任感や大変さもあるので、監修の先生のもとへ毎週通い、綿密な取材を心がけています。

 また先日は橋口先生がヘルニアによる座骨神経痛で、立つことすらできなくなくなるというアクシデントもありました。連載中止はおろか、マンガ家生命にもかかわるような事態でしたが、今年の3月に手術を受け、今は無事に回復に向かっています。

 手術の様子、橋口先生の近況などは9巻のオマケにて紹介していますので、ぜひご覧ください。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 18日に発売となった9巻は、大反響を呼んだ“ケニア留学編”のクライマックスです。

 医療水準や治安が日本とは全く異なるケニアという地で、次々と襲いかかってくる困難に、義明たちがいかにして医療に立ち向かうのか……。熱い思いの詰まったストーリーが満載です。

 また、途中で突如として始まる“芸術の街・パリ編”では、裸体主義者の家庭に宿泊するという驚愕(きょうがく)の展開も待ち構えているので、楽しんでいただければと思います(笑い)。

 これからも、型破りながら「医療で人を救いたい」という熱い思いだけは誰にも負けない主人公・最上義明を中心に、魅力的なキャラクターとエピソード盛りだくさんでお送りしますので、楽しみにしていてください!!

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