アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン・アスカの物まねで知られるお笑い芸人の桜 稲垣早希さん。「エヴァ」だけでなくさまざまなアニメやマンガ、ゲームが大好きという稲垣さんが、熱い思いを語ります。（毎月25日更新）

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“あの頃”のジャンプ：実写ドラマ化も話題「ウイングマン」　1983年を振り返る

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　今回は懐かしい、昔大好きだったマンガ「MIND ASSASSIN（マインドアサシン）」についてです！　このマンガ、私はいまだにジャンプの歴史の中でもトップクラスに面白いマンガだと思います！！

　私の世代のジャンプは「ドラゴンボール」「るろうに剣心」「スラムダンク」「ろくでなしブルース」「すごいよ！！マサルさん」「みどりのマキバオー」「地獄先生ぬ～べ～」などの時期でした。どれもものすごいマンガなのですが、私はこの時期、「マインドアサシン」のためにジャンプを読んでたと言っても過言ではありません。（大好きなるろ剣は実はアニメ派なんです）

　作者はかずはじめさん。全部ひらがなというのが、バカな私にはうってつけ！　ざっくりあらすじを言うと、他人の頭に手を触れるだけで精神と記憶を破壊することができる能力をもつ奥森かずいという男性が主人公です。この力は人を殺（あや）めることもできるため暗殺の力として開発されました。

　しかし、かずいはこの力を困っている人のために使います。暗殺のために使う以外には、心に傷を負った人の嫌な記憶を消し新たな人生をスタートさせるために使うのです。ある程度のつらい経験は乗り越えることによって人は強くなると思いますが、そのつらい経験がトラウマになっていることによって人生がめちゃくちゃになってしまう。そういう人に、かずいは優しくそのつらい記憶だけを消します。

　かずいのせりふにこんなのがあります。

　「人は弱いから百の楽しさより一のつらさを覚えている。だから反対に考えれば今つらいことがあってもその何倍も楽しいことがあったはずだし、思い出せると思う」

　か…かっこいいいいいいいいいいいいいいいいい！！　そうなんですよ！　つらいことの方が記憶に残ってしまうんですよね人間って！　なんだか、不公平なつくりです！　太るの簡単だけどやせるの難しいし、髪の毛伸ばすの時間かかるけど切るの一瞬だし！（前髪自分で切ったら絶対後悔するのに、夜中いきなり切りたくなるし！！）。

　このマンガを読んだとき、今まで主人公が敵と戦って仲間を守るというマンガが多いと思いますが、こういった「精神から守る！」という変わった設定は当時ジャンプを読んでた私の心をわしづかみにしました！　なんせ、奥森かずいは普段の姿は街の医者で、いつもニコニコしてて、背が高いので梁（はり）に頭をぶつけたりドジな部分もあり、のほほん癒やし系のかっこいい男性なのです。それが昼間、患者さんから相談を受け、夜には黒い服を着て殺し屋に変わるのです！！　この時のかずいの表情の変わり具合がかっこいいのなんのったら！！　ちなみに、かずいは普段この能力を抑えることのできるピアスをしています。のほほん医者のかずいの耳にはいつもピアスが！！　このギャップもいい！！　当時子供だった私は初めて大人の男性にあこがれました！！　私もまねしたくてピアスを開けようとして親に止められたこともあります。

　そしてそして、かずいのことばかり言ってますが、さらに忘れてはいけないキャラクターは、かずいが引き取って面倒をみている虎弥太（こやた）という男の子。この子がもう最高に可愛いんです！　18歳の男の子ですが中身は幼児です。実はつらい過去があり、昔かずいに今までの記憶を消されました。だから、この子の人生は途中から始まってることになってるので、見た目より中身は子供ということです。虎弥太は人見知りで、かずい以外の人とはほとんどしゃべりません。内弁慶なのでかずいにはよくいたずらをしたりいきなり鋭い言葉を発します。かずいが殺し屋だということも知ってて、かずいにはなくてはならない存在になっています。虎弥太が誘拐された時の、犯人との会話は必見です！　これはぜひ読んでもらって虎弥太の姿を見ながら確認してほしいですね！　ストーリーも基本短編ですので、読みやすいし、毎回かっこいい内容なので「バトル系が苦手です！」という方におすすめです！

　私の街にも奥森医院があったらいいのにな～。そしたら毎日通って、舞台でスベった最悪な記憶を消してもらうのに～！

　◇プロフィル

　桜 稲垣早希（さくら　いながき・さき）＝83年神戸市生まれ。07年2月に、お笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M−1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に相方がコンビを卒業し、ピン芸人として活動。アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、バラエティー番組「ロケみつ」（毎日放送）でブレーク。「R−1ぐらんぷり」で2年連続で準決勝に進出したほか、「吉本べっぴんランキング」でも3年連続で2位を獲得している。最近ではバラエティー番組などでナレーションもこなすなど、芸の幅を広げている。