サッカー欧州選手権:準決勝「ドイツ対イタリア」を野口幸司が予想 両チームともFWがカギ

イタリアのマリオ・バロテッリ選手 写真:アフロ
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イタリアのマリオ・バロテッリ選手 写真:アフロ

 熱戦が繰り広げられている欧州サッカーの王者を決める大会「サッカー欧州選手権(UEFA EURO 2012)」。28日深夜3時半(日本時間)に行われる決勝トーナメント準決勝第2試合「ドイツ対イタリア戦」を前に、WOWOW番組解説者の野口幸司さんに見どころを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 野口さんは、前の試合から中5日で準備ができ、さらにミロスラフ・クローゼ選手やマルコ・ロイス選手らフレッシュな選手を起用して結果が出たドイツについて、「(準決勝進出の)4チームの中で最も充実した準備ができている」と話す。「バスティアン・シュバインシュタイガー選手の状態だけが気がかりだが、代役について『ルーカス・ポドルスキ選手なのか、トーマス・ミュラー選手なのか』とドイツ人が楽しみにしているくらいだから、万が一のときも高いレベルでこなしてくれるだろう。大きな穴になるとは考えにくい。だからドイツは前半から、前がかって点を取りにいくだろうね」と展望した。

 ドイツのフォワードの先発について、「マリオ・ゴメス選手に戻すと思う。開幕以来、あの難しいBグループを制した貢献度を尊重しつつ、準々決勝のクローゼ選手の先発とスコアで刺激も与えた。ヨアヒム・レーブ監督はチームを活性化することに成功している。ここで、またゴメス選手が得点したら、ドイツはこの試合だけではなく、頂点も見えてくる」とコメント。

 「ただ、それにはゴメス選手は、中盤のメスト・エジル選手やミュラー選手などにボールが入ったとき、あるいは入る前から、自分から駆け引きの主導権を握れるような動きを始めるなど、ちょっとした上積みが必要かもしれない。その感覚さえ身につけて、相手にとってより危険な存在になれば、チームとしての怖さも倍増する。これはセミファイナル(準決勝)だけの話ではないけど、ドイツのゴメス選手、イタリアのマリオ・バロテッリ選手。この2人のどちらが覚醒するかが優勝の行方に大きくリンクするだろうね」と予想した。

 一方、イタリアについて、スケジュールとコンディションが懸念材料といい、「グループリーグをポーランドで戦い、キエフに移動して、24日の準々決勝のイングランド戦は延長、PK戦までもつれた。それから、またポーランドまで移動する。移動を含めた中3日で、ほぼ万全のドイツに挑むわけだから、そこはドイツに大きなアドバンテージがあると思う。コンディションの問題さえなければ、イタリアのチェーザレ・プランデッリ監督が目指す攻撃的なサッカーとドイツの本気のぶつかり合いを楽しめるはず。ただ、チームの現状から考えると、イタリアはおそらく受けに入った前半を過ごさないといけないだろう」と分析する。

 野口さんは、イタリアのシステムについても言及し、「最終ラインを3バックにするか、4枚(4バック)並べるのか。個人的にはダニエレ・デロッシ選手を最終ラインにおいて、そこから配球をするほうがベターだと思う。そうすれば、アンドレア・ピルロ選手が自由にボールを持つ機会が増える。ピルロ選手のところで速く攻めるか、ためを作るか、プレーの選択肢が増え、中盤のリッカルド・モントリーボ選手、マクラウディオ・マルキジオ選手が2トップにからんでいけるのが大きなメリット。それは同時に、ドイツはここまで、主導権を握ったゲームを重ねてきたから、そういうときに冷静に対応できるのか、試されることになるだろう。ギャップが見えたらイタリアはすかさずそこを突くうまさがあるから、勝機は十分にある。逆にいうと、ピルロ選手にどれだけ自由にボールを持たせずにいなすか、エジル選手のディフェンスも一つのポイントだろう」と話す。

 野口さんは、イタリアのキーマンにバロテッリ選手を挙げ、「初めて直接見たが、あそこまで潜在能力の高い選手だとは思っていなかった。決して自分の型があるわけではないんだけれど、逆にいうとなんでもできる選手。引いて受けてから前向いて(シュートを)打てるし、サイドからの折り返しにもしっかり反応している。セットプレーからも得点した。すべてを持っていて、うらやましくもある」と絶賛。「意外なのはもっと本能的なストライカーというイメージだったんだけど、ボールを受ける前にしっかり努力をしているんだよね。予備動作を入れたり、ディフェンスの背中に一度入ってみたりなど、かなり考えて動いている印象を受けた。問題は精神面だから、いい形で点を取って、乗ってくれば、イタリアに歓喜をもたらす存在になる可能性はかなり高い。報道だけではなくプレーも注目してあげてほしい」と見どころを語った。

 「サッカー欧州選手権」は、欧州サッカー連盟(UEFA)が主催し、1960年から4年に1度、欧州各国の代表チームによって争われる大会。16チームが4組に分かれてグループリーグを戦い、各グループ上位2チーム、合計8チームが決勝トーナメントに進出する。今大会はポーランドとウクライナの共同開催で、8日に開幕した。WOWOWでは、7月1日の決勝まで全31試合をハイビジョンで生中継している。野口さんも注目する準決勝「ドイツ対イタリア」戦は28日深夜3時半から、WOWOWプライムで生中継する。

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