注目映画紹介:「少年は残酷な弓を射る」スウィントンの演技に脱帽 母と少年の緊迫した関係

(C)UK Film Council/BBC/Independent Film Productions 2010
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(C)UK Film Council/BBC/Independent Film Productions 2010

 ティルダ・スウィントンさんの演技が絶賛された「少年は残酷な弓を射る」(リン・ラムジー監督)が30日に公開される。キャリアの途中で長男ケヴィンを授かったエヴァ(スウィントンさん)は、心のどこかで彼を疎ましく思っている。それを察知したかのように、エヴァにだけはなつかないケヴィン。やがて彼は美しく賢い完璧な青年へと成長するが、エヴァへの反抗心だけはおさまることはなく緊迫した関係が続き……というストーリーだ。

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 冒頭現れるエヴァは、見るからに地味だ。嫌がらせのために何者かによってぶちまけられた赤いペンキが車にべっとりとついている。それを洗い流すわけでもなく、彼女はそそくさと家を出ていく。向かったのは会社の面接。そこでも彼女は、従業員の刺すような視線にさらされる。一体彼女に何があったのか。それを映画は、現在と過去を交錯させながら解き明かしていく。英国女性作家文学賞オレンジ賞に輝いたライオネル・シュライバーさんの小説を、「モーヴァン」(02年)のラムジー監督が映画化した。

 今作の演技で、今年のゴールデングローブ賞ドラマ部門で主演女優賞にノミネートされたスウィントンさんは、“それ”が起きた前と後とで、キャリアウーマン然とした女性と、やつれ切った女性の“別人”を完璧に演じ分けた。不敵な笑みを浮かべる息子ケヴィンを憎々しげに演じたエズラ・ミラーさんにも脱帽だが、何かにとりつかれたようなスウィントンさんに、終始見入られっぱなしだった。30日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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