12年の米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、惜しくも受賞は逃したが(ちなみに受賞作はイランの「別離」)、本国カナダのアカデミー賞といわれるジニー賞では6部門に輝いた映画「ぼくたちのムッシュ・ラザール」が14日から全国で順次公開されている。
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カナダ・モントリオールの小学校。ある朝、教室で担任の女性教師が首をつって自殺していた。心に傷を負ってしまった子供たち。後任の先生が見つからない中、19年間母国で教師をやっていたというアルジェリア移民の中年男性が校長を訪ねてくる。学校はその男バシール・ラザールを代用教員として採用することにするが……というストーリー。
こういう書き方をすると、そのバシールという男は、実は別の顔を持っており、子供たちの身に危険が及ぶのではないかというサスペンスを想像させるかもしれない。確かに、バシールには別の顔がある。そもそもこの物語には二つの秘密がある。バシール自身が抱えている秘密と、自殺した教師と生徒たちの間にある秘密だ。遺体を見た少女が、第1発見者の少年にこう言う場面がある。「あなたが言いふらしたからよ」。一体何を言いふらしたのか? 少年に女生教師は何をしたのか? 謎をはらみながら物語は進んでいく。
この映画はまた、生徒、教師、親の関係に疑問を投げかける。触れると問題になるからと、生徒の背中に日焼け止めを塗ることすらできない教師のエピソード。まるではれものに触るように大人たちから扱われる子供たち。そんな子供たちを見てバシールは、「彩りが足りない」と表現する。教育現場が抱える問題はどこの国も変わらない。
今作が、おそらく普通のヒューマンドラマなら、ここまでの感動と衝撃は得られなかっただろう。衝撃といっても、殴られたときのような強い痛みではない。皮膚に刺さったトゲを1本1本抜いていくような小さな痛みだ。しかしそれは確実に心をむしばむ。ラザールが抱える問題が解決しかけ、子供たちとの関係もうまくいきかけ、明るい兆しが見えてくる。ところがまたも現実の壁が立ちはだかる。この映画に希望を見いだす人は多い。その中で現実の厳しさに目がいってしまうのは、悲観的過ぎるだろうか。7月14日よりシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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