注目映画紹介:「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」ほんわかした外見とは裏腹のすごみある人生

「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」(C)CHIHIRO ART MUSEUM
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「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」(C)CHIHIRO ART MUSEUM

 絵本画家いわさきちひろの知られざる人生にスポットをあてたドキュメンタリー作「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」(海南友子監督)が14日、公開された。望まぬ結婚、2度目の結婚、夫の失業、仕事での孤立など、ほんわかとした画風からは想像もつかない激動の人生と、芸術家として絵に懸ける不屈の魂を映し出している。エグゼクティブプロデューサーは山田洋次監督。

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 ちひろ、27歳。疎開先の信州から家出同然で上京すると、池袋の芸術家村で画家になる決意をする。若いちひろは、親が決めた相手と結婚し死別。戦争で家を失っていた。やがて年下男性の松本善明と恋に落ちて再婚するが、松本は弁護士を目指して勉強の身だった。生活費はちひろが稼ぐしかない。生活のために広告の仕事を請け負いながら、絵本画家としての理想を捨てなかったちひろは……という展開。

 絵と似たほんわかした外見とは裏腹に、この人の人生にはすごみがある。2度目の結婚で夫を支える強さ、画壇で孤立しながらも自分を信じる強さ……。まるで頑固なロックバンドのメンバーのようだ。芸術家としても、女性としても、生き方は初志貫徹。挿絵の著作権を守るために奔走したことも紹介している。理想に生きた姿、母としての強さが浮き彫りになっている。ちひろが表紙を手がけた「窓ぎわのトットちゃん」の著者・黒柳徹子さんや、高畑勲監督のインタビューも収録し、数多くの原画を盛り込み、人となりだけでなく、絵そのものの魅力も伝わる。ちひろの水彩の技法を知ることができるのも楽しい。今作を見て、再びちひろの絵本「戦火の中の子どもたち」をめくりたくなった。14日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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