注目映画紹介:「トータル・リコール」 C・ファレルで再映画化 近未来的小道具も楽しい

「トータル・リコール」の一場面 
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「トータル・リコール」の一場面 

 SF作家フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」を、「S.W.A.T.」(03年)や「マイアミ・バイス」(06年)のコリン・ファレルさん主演で再映画化した「トータル・リコール」(レン・ワイズマン監督)が10日に全国で公開される。科学戦争の末に、地球のほとんどが居住不可能となった21世紀末が舞台。なりたい自分になれる人工記憶を売るリコール社を訪れた工場労働者のダグラス(ファレルさん)。ところが、情報員の記憶が上書きされようとしたとき、突入してきた警官隊をなぎ倒すという自分でも驚くべき行動に出る。実はダグには、彼自身が知らない記憶が眠っており、それによって彼は、世界の運命を変える戦いに巻き込まれていく……という展開。

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 原作小説は、すでに90年にアーノルド・シュワルツェネガーさん主演、ポール・バーホーベン監督で映画化されているが、今作はアクションを前面に押し出し、バーホーベン監督の作品のように“痛々しい”ビジュアルが盛り込まれたSF娯楽作とは異質の仕上がりとなった。21世紀の荒廃した地球を舞台にしたことで現実味が加味され、重厚な雰囲気すら漂っている。その一方で、手のひらに内蔵された携帯電話や顔を変えられる首輪、自分自身と対話できるホログラムなど、近未来的な小道具がちりばめられており、SFファンを満足させる仕掛けに抜かりはない。また、ダグラスたちが、居住可能な二つの地域をつなぐ“フォール”と呼ばれるエレベーターに乗り、地球のコア(核)を通るときの“重力反転”は、今作でしか味わえないアトラクション感覚が楽しめる仕掛けの一つだ。

 「アンダーワールド」シリーズや「ダイ・ハード4.0」(07年)のワイズマン監督が映像化。脚色は「ソルト」(10年)のカート・ウィマーさんと「アンストッパブル」(10年)、「ダイ・ハード4.0」のマーク・ボンバックさん。アクションがとびきり得意というわけではないファレルさんだからこそ、超人的なシュワルツェネッガーさんが演じた前作の主人公とは異なり、人間くさくて好感が持てる。また、ダグラスの妻を演じたケイト・ベッキンセールさんは、いわゆる悪役だが魅力的で、夫であるワイズマン監督作「アンダーワールド」シリーズでのアクショントレーニングが大いに役立っていることは映像からもうかがい知れる。10日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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