穏やか貴族の休暇のすすめ。
第10話 「イレヴンの願い」
3月18日(水)放送分
1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、月刊マンガ誌「Cocohana(ココハナ)」(集英社)で連載、「海月姫」「主に泣いてます」などのマンガ家・東村アキコさんが自身の半生を描いたコミックエッセー「かくかくしかじか」です。
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子供の頃から少女マンガが大好きだった東村さん。本名は林明子で、宮崎で生まれ育った。高校生になった明子は、美術部でおだてられながら絵を描き、東京の美大に現役合格し、マンガ家デビュー、マンガが実写映画化されて俳優と結婚……などと妄想とも夢ともつかない将来設計を描いていた。ある日、同じく美大進学を希望しているクラスメートに紹介され、名もない絵画教室に行くことになる……。
「東村版“まんが道”」というのが、この「かくかくしかじか」のテーマです。
東村先生といえば、「ママはテンパリスト」や「海月姫」「主に泣いてます」ですっかりおなじみの、軽妙なギャグやリズム感とセンスたっぷりのコマ運びなどなど、魅力は枚挙にいとまがありませんが、なかでも圧倒的なのはキャラクター描写ではないかと思います。絶妙なさじ加減で注がれるキャラクターへの愛情とそこから生まれる描写力。今作は、東村先生の魅力のすべてが集結したと思っています。先生の思い出話は、ただ聞いていても面白いのですが、こうしてマンガの形で生まれ変わることによってさらに色鮮やかになっている気がします。
読んでいるだけで、目の前に日高先生や二見さんが現れてくるようなリアル感、まるで明子の高校時代を自分も一緒に味わっているかのような気持ちになれると思います。
「笑えるのにほろっと泣けちゃう」「受験のところは、笑いながらも自分の学生時代を思い出した」「日高先生みたいな先生に会ってみたかった」などなど、多くの声が編集部にも届いています。
学生時代を思い出したい人も、いままさに学生の身である人も、ぜひ読んでみてください!
マンガ家を目指すアキコは、美大受験を控え、講師が竹刀を持って指導する、変わった絵画教室に通うことに。
スパルタな日高先生とのエピソードは、どれも笑えるし心に響く。「次の大学受験が終わるまで内緒にして」とアキコの母に頼まれていたにもかかわらず、「お前落ちたぞ。そこに受からなきゃ、後はないぞ」と、受験先にまで電話してきたり。直球の厳しさは、本当の優しさがあるからだと思う。
悲しかったことや、つらかったことでさえも、その一瞬一瞬を大切に感じてきた作者だからこそ描けるマンガです。
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