吉本百年物語:10月公演に出演の末成由美と島田一の介に聞く 昔も今も「礼儀は変わりませんね」

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 吉本興業100周年の今年、月替わりの芝居で100年の歴史を振り返る舞台公演「吉本百年物語」がなんばグランド花月(大阪市中央区)で公演中だ。10月の公演は「これで誕生!吉本新喜劇」。吉本新喜劇のベテラン団員で公演に出演中の末成由美さんと島田一の介さんに聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 今回の時代設定は昭和35(1960)年。戦災で演芸の興行から遠ざかっていた吉本興業は「吉本ヴァラエティ」を立ち上げ、若いスターを発掘しようとしていた……。のちに新喜劇をささえる岡八郎(晩年、八朗に改名)と花紀京の青春時代を描いている。岡八郎を千原せいじ、花紀京を新喜劇座長の1人、内場勝則が演じている。

 「由美ネエ」の愛称で親しまれ、「インガスンガスン」のギャグでおなじみの末成さんの今回の役は喫茶店のママ・八重。「芸人さんや研究生が集まるアットホーム的な喫茶店なんです」と舞台を紹介する。

 入団当時を「あのころは岡さんも花紀さんもゲスト出演で、私はあんまり怒られなかったんです。岡さんとはよく夫婦役をやらせてもらいました。花紀さんは1人でボケたりする役が多かったですね」と振り返る。

 昔も今も変わらないものもある。「今もやっぱり礼儀は変わりませんね。(吉本興業は)礼儀が学べるところですね。1日でも早く入れば先輩。お兄さん、お姉さんですから。あと、女性の場合は、着付けとかお姉さんのことを手伝いながら自分のこともやらなければいけませんから、花嫁修業としては一番いい場所。今、こんなにきっちり若い人がきちんとしている世界ってないですもの」と話す。

 今の若手に対して、「岡さん、花紀さんのころは、お前らは芝居だけしとけばいい、笑いは俺らが取るという時代でした。それで、私たちは芝居をしっかりしてました。このごろは一人一人が芝居をして笑いも取れるんですが、私が若い子に言うのはネタも大事だけれどお芝居も覚えないと長くは続かないよということなんです」とアドバイスする。

 一の介さんは吉本興業を発展させた林正之助役。「新喜劇は緊張しませんけど、この芝居はホンマにドキドキ。会長の役、大事な役もらってるんで緊張してます。一番の悩みはなまりなんですよね。僕は四国出身ですから、すこしなまってもええかな?と(思う)」と明かす。

 新喜劇の大先輩の2人を振り返って「花紀さんは怖い存在でした。一度お芝居をトチって、終わったあとにえらい怒られました。もう今日は出るな。やめるか?とまで言われました。それは怒られて当然です。怒られたのはそれ1回でした。八郎さんは晩年、よくお話させていただくようになりました」と懐かしむ。

 昔と今、新喜劇で変わったものは? 「昔の新喜劇と今の新喜劇はスピードとテンポが違うんですよ。今はポンポンと早いですね。僕は間の取り方をよく見てました。今も間の取り方は大事ですね。この芝居は笑いもありますけれど、まじめなお芝居ですので、感動できると思います。どうぞお越しいただきたいです」と最後にアピールした。

 公演は31日まで。問い合わせは「チケットよしもと」(電話0570・036・912)。午前10時~午後7時。

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