ルパン三世:栗田貫一が語るルパン役18年 山田康雄さんへの思いも

ルパン三世と山田康雄さんへの思いを語る栗田貫一さん
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ルパン三世と山田康雄さんへの思いを語る栗田貫一さん

 人気アニメ「ルパン三世」の23作目となる新作テレビスペシャル「ルパン三世 東方見聞録~アナザーページ~」(日本テレビ系)が11月2日に放送される。キャスト陣を変更した新チームでは2作目のテレビスペシャルだが、故・山田康雄さんからルパン役を引き継いだ栗田貫一さんは山寺宏一さんら新キャストに温かい目を向ける。「“山田節”を引き継ぐ」と18年間ルパン役を務めてきた栗田さんに、ルパンと山田さんへの思いを聞いた。(立山夏行/毎日新聞デジタル)

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 モンキー・パンチさんの同名マンガが原作の「ルパン三世」は、71年からテレビシリーズ3回、劇場版6作に加え、89年からは2時間のテレビスペシャルを不定期で放送している。昨年放送されたテレビスペシャル「血の刻印~永遠のmermaid~」から、キャスト陣を一部変更。ルパンの永遠のライバル・銭形警部を「山ちゃん」の愛称で知られる山寺さん、石川五エ門役を浪川大輔さん、峰不二子役を沢城みゆきさんがそれぞれ務め、今年4~6月には、新キャストでは初となる27年ぶりのテレビシリーズ「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」も放送された。

 今回の「東方見聞録~アナザーページ~」は、マルコ・ポーロの旅行記「東方見聞録」にあったという“幻の1ページ”を巡り、ルパン一味が世界をまたに掛けた冒険を繰り広げる。監督は「ルパン三世VS名探偵コナン」の亀垣一さん、脚本は「夏休みの恋人」などを手がけ、俳優としても活動する日高勝郎さんが担当。音楽は大野雄二さんが手がけている。

 ものまね番組などでルパンのまねを披露してきた栗田さんは、同じ事務所の先輩だった漫才コンビ「おぼん・こぼん」との縁で山田さんとも親交があった。留守番電話の待ち受けメッセージをルパンのまねで吹き込んでいたという栗田さんに、山田さんが電話をかけ、待ち受けメッセージをそっくりそのまま繰り返した後で、「バカヤロー! 俺がルパンだ!」とメッセージを残したこともあったという。

 ところが95年、劇場版アニメ「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」の製作中に山田さんが倒れ、急きょ代役として栗田さんに白羽の矢が立った。一言二言程度の追加収録だと思い「ものまねタレント冥利につきる。誰にも気づかれないようにやっちゃおう」と引き受けたものの、実際スタジオに行ってみると、せりふが全く入っておらず途方に暮れた。しかし、銭形役の納谷悟朗さんから「お前でいいんだ。やってくれ」と温かい声をかけられ、収録に臨めたという。共演者にあいさつできないほど緊張していた栗田さんだったが「納谷さんたちが守ってくれた」と振り返る。

 緊張の初収録から18年にわたってルパン役を務めてきた栗田さん。「一番難しいのは、ルパンの普段の会話だ」といい、今でも山田さんが演じてきた作品を数日前から自宅で流し、気になる部分は巻き戻しながら、自分が「山田さんの温度」になるまでじっくり聞き込んで収録に臨んでいる。「山田さんのルパンが大好きだったからこそ、その音を守りたい」と山田さんへの敬意と役に懸ける真剣な気持ちは18年間変わらないものだ。

 山田さんからルパン役を引き継いだ時、批判に心を痛めたという栗田さん。昨年キャスト陣が変更された時、収録の前に新キャスト陣を集めて一席設けた。「スタジオで初めて会うんじゃなく、その前に直接会って『ファミリーなんだよ』と伝えたかった」と語る姿には、かつて自分が受けた重圧を納谷さんら先輩陣に救ってもらった経験が受け継がれているようだ。

 「峰不二子という女」で18年で初めてテレビシリーズも経験し、新チームの結束も深まった。「道はそれぞれ違っても、同じ山を登っているんです。いろんな尾根から登っても目指す頂上は同じ。5人の関係はできている」と語る栗田さん。先輩たちの思いを受け継ぎながら、ルパン一味はこれからも高みを目指していく。

 「ルパン三世 東方見聞録~アナザーページ~」は日本テレビ系の「金曜ロードSHOW!」で、11月2日午後9時から放送。

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