小沢昭一さん死去:桂米朝さんがコメント 「また寂しさが一つ増えました」

10日に亡くなった小沢昭一さんに向けてコメントを発表した桂米朝さん=姫路市文化センターで2012年8月4日、渕脇直樹撮影(毎日新聞)
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10日に亡くなった小沢昭一さんに向けてコメントを発表した桂米朝さん=姫路市文化センターで2012年8月4日、渕脇直樹撮影(毎日新聞)

 放送回数1万回を超える長寿ラジオ番組「小沢昭一的こころ」(TBSラジオ)などへの出演や一人芝居や話芸、芸能史研究でも知られた俳優の小沢昭一(おざわ・しょういち)さんが10日午前1時10分、東京都内の自宅で死去した。83歳。

ウナギノボリ

 死去の報を受けて、人間国宝で文化勲章受章の落語家、桂米朝さん(87)が10日、コメントを発表した。(毎日新聞デジタル)

 ◇全文は次の通り。(原文まま)

 え、小沢昭一が亡くなりましたか…。そうですか…。

 彼と私は川柳の会「東京やなぎ句会」の同人でしたが、それ以前に、彼とは正岡容(いるる)の同門でした。演芸評論家であり、作家でもある正岡先生の薫陶を受けた我々は、宴席で居並ぶと、必ずどちらからともなく正岡容作の浪曲をうなったものです。

 実は今年の夏(8月9日)、大阪のサンケイホールブリーゼでの私の米寿記念落語会に、東京やなぎ句会のメンバーとの座談の幕が設けられてあり、そこに小沢昭一も来てくれたんです。

 その時、すでに彼は体調が悪かったんですが、座談の途中、正岡先生の話題になった時、いきなり彼は大きな声で「毎度皆様おなじみの、あの次郎長に子分はいるが、強いのばっかりそろっちゃいない、中にゃとぼけたやつもあ~るぅ」と、「灰神楽三太郎」の冒頭を唸り、会場を大いに沸かせてくれました。

 あれが、彼と会うた最後になってしまいました。あの時はホンマに楽しかったです。また色々と芸談を交そうと思てたのに……、彼がおらんようになって、また寂しさが一つ増えました。

 桂米朝

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