ブック質問状:「思い出のとき修理します」 じれったい関係楽しんで

谷瑞恵さんの「思い出のとき修理します」(集英社)
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谷瑞恵さんの「思い出のとき修理します」(集英社)

 話題の小説の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、谷瑞恵さんの「思い出のとき修理します」です。集英社文庫編集部の信田奈津さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 仕事や恋に疲れて都会を離れたヒロインの明里。引っ越し先で出会った時計屋さんをはじめとした人々との交流や、不思議な事件を通して、自分自身の思い出を修復してゆく癒やしのストーリーです。優しくて誠実、さらに料理上手な時計屋さんに、女性ならみんな胸キュンのはず!? 明里と時計屋さんとの、じれったい関係を楽しんでください。あたたかくて懐かしい、古い商店街の雰囲気もポイントです。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 谷さんから一般向けにも書いてみたい……とお話をいただいたのが最初です。ご相談を重ねる中で、「思い出」をテーマにした連作はどうか、とご提案いただき、このお話が生まれました。

 −−作者・谷さんはどんな方でしょうか?

 とても穏やかで、笑顔がキュートなすてきな方です。代表作のコバルト文庫「伯爵と妖精」シリーズでも魅力的な男性キャラクターがたくさん登場しますが、今回の作品の時計屋さんや太一くんも、それに負けないすてきな男子たちだと思います。

 −−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

 やっぱり、誰よりも先に作品を読むことができるのが喜びです。また、発売後すぐに大きな反響をいただけて本当にうれしく、テンションが上がります(笑い)。

 大変な点は、作品のよさをどう伝えるかということ。派手な事件があるような物語ではないので、このやさしい世界観を届けるには、どうすればいいのか悩みました。装丁はもちろん、中身のデザインも凝っているので、よければ注目してみてください。

 −−今後の展開は。

 来年秋に2巻の発売を予定しています。この先、2人はどうなっていくのか……ご期待ください。

−−最後に読者へ一言お願いします。

 この冬にぴったりの、心がほっこりする作品です。おかげさまで20万部を突破し、さらに多くの読者の方に届けばいいなと思っています。この本が、読んでくださった方の「思い出」になれば幸いです。

 集英社 集英社文庫編集部 信田奈津

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