久石譲:山田洋次監督と母校で巨匠対談 生演奏に“後輩”250人大喜び

「東京家族」のスペシャルトークセッションに登場した久石譲さん(左)と山田洋次監督
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「東京家族」のスペシャルトークセッションに登場した久石譲さん(左)と山田洋次監督

 山田洋次監督の監督デビュー50周年記念作品「東京家族」のスペシャルトークセッションが25日、国立音楽大学(東京都立川市)で開かれ、山田監督と映画音楽を担当した久石譲さんが登場した。映画界、音楽界の第一線を走り続けている2人の巨匠による初のトークセッションということに加え、同音大は久石さんの母校ということから、会場には約250人の“後輩”たちが集まった。久石さんがピアノソロで「東京家族」など全3曲を披露すると、集まった学生たちは大喜びで、やさしくも力強い久石さんの生演奏を真剣なまなざしで聴き入っていた。

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 イベントは同映画の公開を記念したもので、久石さんの生演奏のほか、久石さんと山田監督による映画音楽や自身のこだわりについてのトーク、学生たちからの質疑応答も行われた。今回が山田監督と初タッグとなった久石さんは、「(オファーを受けて)願ったりかなったり! でも、ある意味で重く、すばらしい作品だったので、個人的にはプレッシャーだった」と当時の思いを語った。一方の山田監督は、「初めて組んでとっても大変だった。お見合いするような感じでドキドキした」とユーモアたっぷりに振り返った。

 山田監督から「空気のような音楽を」とオファーを受けたという久石さんは、「全部で19曲作って、実際には16曲が使われた。平均40~50秒の短い音楽で難しかった」と苦労を告白。学生から「うまくいかなくなったとき、どうしますか?」と質問された久石さんは、「考え続けることが大事。良い日もあれば悪い日もある。できる範囲で一生懸命がんばってやっていれば、腑(ふ)に落ちる瞬間がある」と持論を展開。学生たちは“大先輩”の言葉をノートにメモするなど、熱心な様子で聴き入った。

 山田監督は、「こういうイベントは初めてで、とても刺激的。学生諸君も一生懸命聞いてくれた」と満足げ。久石さんも「また機会があったらやりたい」と笑顔を見せていた。なお、この日のイベントには、ゲストとしてチェロ奏者の花崎薫さんも登場した。

 映画は、東日本大震災後の12年5月の東京が舞台。瀬戸内海の小島から上京した平山周吉(橋爪功さん)、とみこ(吉行和子さん)の夫婦と、長男の幸一(西村雅彦さん)、長女の滋子(中嶋朋子さん)、次男・昌次(妻夫木聡さん)ら家族の絆を描く。幸一の妻役で夏川結衣さん、滋子の夫役で林家正蔵さん、昌次の恋人役で蒼井優さんが出演している。2月に開催される「第63回ベルリン国際映画祭」のスペシャル部門で、モチーフになった小津安二郎監督の「東京物語」と一緒に上映される。(毎日新聞デジタル)

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