アニメ質問状:「まおゆう魔王勇者」 キャラやデザインのリアリティーを追求

(C)2013 Touno Mamare/PUBLISHED BY ENTERBRAIN,INC./Projectまおゆう
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 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、「まおゆう魔王勇者」です。ポニーキャニオンの石黒達也プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

ウナギノボリ

 −−作品の概要と魅力は?

 魔族と人間とがお互いの存亡をかけて戦争を続けている世界。それぞれの切り札として強大な力を持つ魔王と勇者は、本来ならば激突し死闘を繰り広げるはずですが、手を組んでしまったところから物語は始まります。2人は戦争を終わらせることを共通の命題に手を組むのですが、私たちが生きる現代社会でも戦争がやまないように、「まおゆう」の世界でも一筋縄ではいきません。

 食糧事情や経済格差など、戦争の裏側にはびこっている諸問題を、地道な改革によって改善していく過程を描いていきます。テーマはお堅い印象ですが、ご覧になる皆さんは肩に力を入れる必要はありません。魔王と勇者が仲むつまじく協力し合う様子は、世知辛い世の中を生きる皆さんに清純な癒やしを与えてくれるはずです。壁がいくつあっても足りません(笑い)。

 −−アニメにするときに心がけたことは?

 リアリティーにつきます。原作は、狙いとするテーマや各キャラの掘り下げ、そして時代背景がしっかりしているだけに、アニメ=映像としての設定構築が薄っぺらいと描く内容の信ぴょう性も薄まってしまいます。キャラクターデザイン、美術設定やプロップデザイン(小物のデザイン)、キャストの演技に至るまで、リアリティーを追い求めています。

 −−作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 信頼のおけるスタッフとキャストに恵まれたことが一番うれしいです。監督の高橋(丈夫)さん、シリーズ構成の荒川(稔久)さん、主演の小清水(亜美)さんと福山(潤)さん、以前「狼と香辛料」でご一緒した皆さんと、新たな作品で出会えた偶然に感謝しています。

 高橋監督は第1話のアフレコで必ずおちゃめな事件を起こしてくれるのですが、今回もアフレコスタジオの場所が分からず迷子になり、スタッフが一生懸命ナビしていました。でも、その第1話でさえわたった高橋さんの演出手腕は期待以上のものでした(監督、フォローしておきますね)。

 −−今後のみどころを教えてください。

 一通りのキャラ紹介が終わる中盤以降は、いよいよ各キャラが有機的に結びつき、自らの使命に目覚めてきます。お屋敷で仕えるだけだったメイド姉が改革の原動力になっていったり、冬の王子が冬寂王として父の遺志を継いだり、女騎士が乙女心と騎士道との間で揺れ動いたり、魔王が覚悟を決めて冥府宮に……だとか、メイド長が自らの身を呈して……だとか。群像劇だけにそれぞれのクライマックスがあり、語りきれません。

 −−ファンへ一言お願いします。

 実力のあるスタッフ陣とキャスト陣のそれぞれが本作に使命感を持って挑んでいます。今、この時代を生きる視聴者の皆さまに、作り手である我々が感じている「まおゆう」が帯びたメッセージを伝えられるのかドキドキしています。

 ご覧になっていない方、魔王様の“駄肉”目的でも、女騎士の“ツルペタ”目的でも、メイド姉妹のメイド服目的でも構いません。ぜひこの作品をご覧になってください。

 ポニーキャニオン プロデューサー 石黒達也

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