注目映画紹介:「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」人生の岐路に立った主人公がインドで再生

(C)2012 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION.ALL RIGHTS RESERVED.
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 「恋におちたシェイクピア」(98年)のジョン・マッデン監督が「プライドと偏見」(05年)の脚本も書いた作家デボラ・モガーさんの原作を映画化した「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」が1日に公開された。インドにやって来た英国人男女7人の出会いと変化を描く。夫を亡くしたばかりの主人公を「007」シリーズのMで知られるジュディ・デンチさんが演じる。人生の岐路に立つ者の背中を押してくれる希望に満ちた一作だ。

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 イブリン(デンチさん)は長年連れ添った夫を亡くし、インドの高級リゾートホテルで一人暮らしをしようと決意する。ホテルのプランに申し込んでいた6人の男女と一緒に行ってみると、そこは改装中のおんぼろホテルだった。若きオーナーのソニー(デブ・パテルさん)は「将来像を載せた」と悪びれない。電話も通じず、ドアもない部屋があるが、ソニーは亡き父から受け継いだホテルの経営にやる気だけは十分だった。イブリンは勇気を出して街に飛び込み、仕事を見つける。ソニーはホテルを復活させようと懸命に動くのだったが……という展開。

 夫を亡くしたおばあちゃんがインドに行き、人生を取り戻す。その極めてシンプルな物語の中に、人生を背負った男女7人と、ホテルの若いオーナーの家族の物語がしっかりと埋め込まれている。インドの生命力に後押しされるかのように、それぞれが自分のペースでエネルギーを取り戻していくのだが、その様子が水を与えられた植物が潤いを取り戻すときのように、みずみずしく映像の中で息づいている。パワフルで色彩あふれる街のカオスに圧倒されるのは、何も登場人物たちだけではない。見ているこちら側も、その熱気に触れながら、年老いたときの生き方について考えさせられる。人は年をとると環境を変えるのがおっくうになるものだが、まったく違う環境に飛び込む勇気を教えてくれる作品だ。TOHOシネマズ シャンテ(東京都千代田区)、Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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