ハリウッドセレブも通い、ミシュランガイド三つ星の「すきやばし次郎」。東京・銀座の地下にある小さなこの店のご主人・小野二郎さんとその息子さん、お弟子さんたちにスポットあてたドキュメンタリー作「二郎は鮨の夢を見る」(デビッド・ゲルブ監督)が2日に公開された。ニューヨーク生まれのゲルブ監督はすしを芸術的に美しく撮るだけでなく、職人の親子の姿も映し出した。
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二郎さんの店「すきやばし次郎」は江戸前ずしの店として「ミシュランガイド東京」で6年連続して最高の三つ星の評価を得ている。オフィスビルの地下にあり、カウンター席が10席ほどしかない小規模な店だ。二郎さんは83歳のとき、世界で最も高齢の三つ星料理人としてギネス世界記録にもなった。長男の禎一さんは本店の後継人、次男の隆士さんは六本店のオーナーだ。二郎さんは87歳の今でも現役で、まだまだ引退する気はない。映画の中では、今も「上を目指している」と仕事への情熱を語る。
なんて優雅な映像なのだろう。すしのアップは神々しいほど。クラシック音楽が効果的に使われ、職人の手の中でスローモーションですしが握られていく様は究極の芸術のようだ。板場で働く職人の無駄のない動きも、テンポよく編集されていて、見ていて楽しく、美しい。メトロポリタンオペラの総師ピーター・ゲルブさんを父親に持つゲルブ監督。最高のすし職人に対し、3カ月にわたる密着取材で、まるで音楽のような芸術的な映像をつむぎ出しただけでなく、偉大な父と、父を乗り越えようとする息子たちの葛藤をも描き出した。技を見て学び、受け継いでいく……。毎日の鍛錬によってしか生み出すことのできない料理人の世界をとくと堪能した。2日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)、ユーロスペース(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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