毎日映画コンクール:大友克洋監督と「おおかみこども」の細田守監督ら受賞者が喜びの声

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 「第67回毎日映画コンクール」(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の表彰式が7日、川崎市川崎区のシネコン「チネチッタ」で行われた。「おおかみこどもの雨と雪」でアニメーション映画賞を受賞した細田守監督は「とても光栄。お母さんが主役のアニメ映画は非常にチャレンジだったが、皆さんがたくさん見てくれた」と感激した様子で、「アニメ映画の未来を信じています」と力強く語った。未公開の「火要鎮(ひのようじん)」で日本のアニメの先駆者の名を冠した大藤信郎賞を受賞した大友克洋監督は「アニメではなかなかやらない江戸時代の話を短編アニメにした。今までタブーとされてきた表現を実験した。この賞を弾みに、もっと大きな作品が作れればいいなと思う」と今後の可能性をアピールした。

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 最高賞の「日本映画大賞」に選ばれた「終の信託」の周防正行監督は、受け取ったトロフィーをを見て「重たいです。今までこんなに重く感じただろうかというくらい重い」と喜びをかみしめ、「終末医療という重いテーマを持った作品を劇場映画として製作できたこと、賛同してくださった方に心よりお礼を申し上げたい」と感謝していた。主演の草刈民代さんは「バレリーナとしての活動をやめた後に初めて出た映画。私はこれで女優という仕事を理解し始めたのではないかと思っています」と撮影を振り返った。

 「愛と誠」で女優助演賞を受賞した安藤サクラさんは「映画では、三池監督の現場にこっそりと興奮しておりまして、(主演の)妻夫木さんの笑顔がとんでもなくカッコよかった。ミュージカルに出たかったし、スケバンのさらしも、宙づりも、パパイヤ鈴木さんの振り付けで踊るのも夢でした」と撮影現場の楽しさを語った。一方、北野武監督の「アウトレイジ ビヨンド」で男優助演賞を受賞した加瀬亮さんは「とても等身大ではできない役に、今思い返すと心配ばかりの毎日で、長い時間悩んだ。監督やスタッフに助けられて何とかカメラの前に立つことができた」と撮影の苦労を明かした。

 「希望の国」で男優主演賞を受賞した夏八木勲さんは「戦前から映画を支えてくれた映画賞をいただいて名誉なことだと思います。この賞を励みに、またこれからも、大いにやっていきたい」としみじみと語り、副賞として贈られた電気自動車に「電気っておもちゃのイメージしかないんですけれど、最先端の車をちょうだいした。ドライブを楽しみたい」と笑顔を見せた。

 「ふがいない僕は空を見た」で女優主演賞を受賞した田畑智子さんは「新人賞をいただきましたのが約20年前。こんなにも長くこの仕事を続けていくとは思っていませんでした」と語り、「たくさんの人に支えられて、家族やスタッフに支えられて今の自分がある。一歩一歩着実に前に進まなければ」と意気込んだ。(毎日新聞デジタル)

 主な受賞作品などは次の通り。(敬称略)

 日本映画大賞=「終の信託」(周防正行監督)▽日本映画優秀賞=「桐島、部活やめるってよ」(吉田大八監督)▽外国映画ベストワン賞=「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)▽男優主演賞=夏八木勲「希望の国」▽女優主演賞=田畑智子「ふがいない僕は空を見た」▽男優助演賞=加瀬亮「アウトレイジ ビヨンド」▽女優助演賞=安藤サクラ「愛と誠」▽スポニチグランプリ新人賞=東出昌大「桐島、部活やめるってよ」、三吉彩花「グッモーエビアン!」▽田中絹代賞=田中裕子

 脚本賞=ヤン・ヨンヒ「かぞくのくに」▽撮影賞=芦澤明子「わが母の記」▽美術賞=部谷京子「天地明察」▽音楽賞=大島ミチル「僕達特急 A列車で行こう」▽録音賞=志満順一「北のカナリアたち」▽ドキュメンタリー映画賞=「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」(長谷川三郎監督)▽アニメーション映画賞=「おおかみこどもの雨と雪」(細田守監督)▽大藤信郎賞=「火要鎮」(大友克洋監督)▽TSUTAYA映画ファン賞日本映画部門=「テルマエ・ロマエ」(武内英樹監督)▽同外国映画部門=「アベンジャーズ」(ジョス・ウェドン監督)▽特別賞=黒澤満(映画プロデューサー)

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