JUN SKY WALKER(S):デビュー25周年でアルバム発表 「40代の大人のロック」

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 4人組ロックバンド「JUN SKY WALKER(S)(ジュン・スカイ・ウォーカーズ、通称ジュンスカ)」が、ニューアルバム「FLAGSHIP」を13日に発表した。メジャーデビュー25周年にあたる13年は、フジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマ「虹」のシングルリリースに始まり、今後はアニバーサリーツアーも予定されている。11年に完全復活を宣言して以来、意欲的に活動するボーカル宮田和弥さんとリーダーでギターの森純太さんに、リードシングル「虹」やアルバムの話、25周年への思いについて聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

ウナギノボリ

 −−97年に一度バンドは解散していますが、年月をへて、11年に完全復活を宣言した理由やきっかけは?

 宮田さん:震災(11年3月の東日本大震災)があったとき、復興のためのツアーをやったんですが、ジュンスカのファンって、やっぱり30代後半くらいで、それこそお父さんやお母さんになったり、役職的にも上下にはさまれてる世代で。そういう世代の人たちが、拳を振り上げて一緒に歌ってくれたり、涙を流してる姿を見て、「やっぱり僕たちがやめちゃいけないんだな」って思ったんです。これから日本を支えていく年代の人たちを、僕たちは音楽という形で助けるというか、支えていくことができればなっていうのがあったんです。

 森さん:以前から応援してくれてるファンと、解散後に僕たちを知ってライブを熱望してくれてた人たちが集まってくれて、そういう現象についてはもっと応えていきたいなっていうのが単純な動機なんですけど、「だったらずっとやっていくか」という感覚ですね。

 −−そして、13年第1弾リリースとなるシングル「虹」(1月30日発売)は、テレビアニメ「トリコ」のエンディングテーマ曲として、“夢”や“希望”というテーマを基に制作されたそうですね。

 宮田さん:「届かないからこそ虹は美しい。でも、その夢に向かって手を伸ばしていこうぜ」っていうのは、「トリコ」のテーマにもある部分だと思うし、ジュンスカは昔からそうだけど、前向きなイメージはありながら、どこか切なさや悲しみだったり、そこを超えて「歩いていこう」(89年)だったりっていうのもあるし。僕らも一度解散していて、お互いに傷つけ合ったり傷ついたり紆余(うよ)曲折があり、またファンの人もいろいろ経験してるでしょうから、そういうのと重ね合わせて聴けるんじゃないかなと。

 森さん:スピード感やスケールがあって、テーマもジュンスカらしい。苦しみや痛みが分かる人は楽しみをより感じられるんだろうと思うし、そういう意味ではやっぱりファンの方も、結婚や昇進、子育てとかがある中でいろんな壁があり、それを乗り越えたときの喜びっていうのを多かれ少なかれ経験してると思うので、ホントに宮田のいう通りだと思いますね。

 −−そんな「虹」を含むアルバム「FLAGSHIP」は、デビュー25周年ならではの今までの足跡をたどるような内容の楽曲がそろっていますね。

 宮田さん:今の等身大のリアルを歌にした感じですね。40代の大人のロックというか、大人の前向き感がすごくあるんじゃないかと。物語というよりも、自分たちの等身大の歌です。

 −−86年当時のことを歌った「1986」もそうですよね。1986年は、ジュンスカにとってはどんな年だったんでしょうか。

 森さん:ホコ天(歩行者天国)でライブを始めたころだと思うんですけど、ちょうど僕と宮田は1人暮らしをするために東京都内に引っ越してきて、これから一旗上げるぞっていうときでした。

 −−歌詞にある“風呂なし、4畳半のアパート”や“武蔵境(東京都武蔵野市)のスタジオ”は事実ですか?

 宮田さん:そうですね。今はもうないかもしれないですけど、武蔵境のロサンゼルスっていうスタジオでリハーサルをやってましたね。

 −−バンドとファンの関係を夫婦の歩みになぞらえた「アニバーサリー」という曲もありますが、実際に25周年を迎えた心境は?

 宮田さん:俺は、25年に対して感慨深いとかっていうのはあんまりないんだよなあ。未来予想図とかもあまり作らないし、過去も振り返らないので。25年たって、まだジュンスカをやれている感謝や喜びはありますけど。

 森さん:僕らがデビューした次の年ぐらいに、ザ・ローリングストーンズのデビュー25周年のビデオが出ていて、それをよく打ち上げとかでみんなと見てたんですけど、当時の日本では25周年を迎えているのって演歌やフォークの人ぐらいで、ロックバンドってもっと短命だったんです。それが今、この年齢になっても変わらずにやっていられるというのはホントにありがたいなって思います。

 −−“もし違う生き方を選んでいたら”というような一節が登場する楽曲もありますね。そんなふうに考えたことはありますか。

 森さん:もう18、19歳ぐらいで、デビューするにはどうしたらいいかとか、ライブの動員を増やすためにはどうしたらいいかっていうことを考えて今に至るので、就職活動をしてみたとか、ほかの勉強をやってましたっていうのも一切ないんですよ。だから、あんまり(違う生き方を考えたことは)ないですね。

 宮田さん:自分が歌ってることに対しては、あんまり疑ったことがないというか。いつまで歌えるか分からないから違う仕事や事業をやっておこうとか、そういうのも全くないので。天命みたいに思ってるとこもあるし、死ぬまで歌う、みたいなところですね。

<プロフィル>

 メンバーは、宮田和弥さん(ボーカル)、森純太さん(ギター)、寺岡呼人さん(ベース)、小林雅之さん(ドラムス)の4人。88年にミニアルバム「全部このままで」でデビュー。89年にアルバム「歩いていこう」と同タイトルのシングルを同時リリース。初めてハマッたポップカルチャーは、「スーパーカー消しゴム。石こうを買って来て自分でレース場を作ったぐらい自分の中ではカルチャーでした」(宮田さん)、「仮面ライダー。僕の地域では日曜の朝10時半からテレビで放送していたので、それを見て、昼ごはんができるまでみんなと仮面ライダーごっこをして遊んでました」(森さん)と語った。

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