話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、「マンガ大賞2013」のノミネート11作品にも選ばれている吉田秋生さんのマンガ「海街diary」です。月刊フラワーズ(小学館)の真島聡さん(由木デザイン)に作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
−−この作品の魅力は?
香田家の3姉妹(幸・佳乃・千佳)と、異母妹・浅野すずが、父の死をきっかけに出会い、鎌倉でともに暮らすことになった彼女たちの日常を描いた、切なく温かい物語です。4姉妹……特に末妹のすずがいろいろな人と出会い、喜び傷つき、励まされながら成長をしていく過程が見どころでしょうか。あとは徹底取材して描かれる鎌倉の風景も楽しめると思います。(しらすトーストやアジフライなど、多彩な食事のシーンも要注目!)
−−作品が生まれたきっかけは?
吉田さんの中で「鎌倉3部作」というのは、以前から構想としてあったようですが、吉田さんが珍しくネームに詰まってしまったのですね。最初に拝見した描きかけのネームでは、佳乃はまだキャラクターができていない状態(「顔」もなかった)で、そもそもお話も朋章(3部作第1作「ラヴァーズ・キス」の主人公)視点でした。
そんなある日、打ち合わせと称して吉田さんと世間話(たわいもない内容)をしていたら、吉田さんの中に大酒飲みで信用金庫勤めの佳乃というキャラクターが生まれ、そこから一気に(第1話の)「蝉時雨(せみしぐれ)のやむ頃」へと……。最初に吉田さんの仕事場で完成ネームを読んだ時は、あまりの素晴らしさに涙ぐみました。これはすごい!と。……といいますか、ネームはいつもお仕事場で吉田さんの目の前で拝見しているんですが、毎回うるうるしてます。
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
物語の舞台である鎌倉の空気感を出すために、連載開始前から今に至るまで、数え切れないほど鎌倉取材をしています。鎌倉は行くたびに新しい発見があったりして楽しいのですが、真夏に漁港取材をした時はあまりの暑さに目まいがしました。吉田さんと2人で「真夏に漁港の取材だけはするものではない」と。……苦労というほどではないかもしれませんが。
あ、その時に漁港の近くのお店で食べたシラス料理はとてもおいしかったです。担当としてうれしいというか光栄なことは、貯金箱役で出演できたことです。
−−今後の展開は?
少しずつですが、それぞれのキャラクターの恋愛模様が描かれていくと思います。(登場人物の話の中にだけ出てくるキャラの)「アライさん」が出演する予定は今のところありません。
−−読者へ一言お願いします。
今、コミックスの発刊ペースはおおよそ1年半くらいに1冊ですが、月刊フラワーズ本誌では毎回カラー付きで4カ月ごとに掲載されております。ぜひ! 本誌を購入してご覧ください。雑誌サイズの「海街」は読みごたえがありますよ。もちろん、コミックスやガイドブックもよろしくお願いいたします。
月刊フラワーズ 真島聡(由木デザイン)
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