はじめの1巻:「就職難!! ゾンビ取りガール」 ゾンビマニア福満しげゆきが描く異色ラブコメ

福満しげゆきさんのマンガ「就職難!! ゾンビ取りガール」(講談社)1巻の表紙
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福満しげゆきさんのマンガ「就職難!! ゾンビ取りガール」(講談社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「モーニング」(講談社)で連載、ゾンビ回収会社に勤める青年と新人の女性アルバイトがゾンビと戦う福満しげゆきさんの異色のアクションラブコメディー「就職難!! ゾンビ取りガール」です。

ウナギノボリ

 街をうろつくゾンビを捕獲・回収する零細ゾンビ回収会社「ゾンビバスターズ」に務める青年の最大の関心事は、最近職場に可愛い女の子のアルバイトが入ったこと。彼女に長く働いてもらえるようにと、ゾンビを回収しながら「給料は悪くない」「この仕事は伸びる」などいい職場であることをアピールし、自分で考案した新しいゾンビ捕獲メカを手に、新人バイト女子とゾンビの捕獲に奮闘する。

 ◇編集部からのメッセージ モーニング編集部 「福満節で描かれた大傑作」

 「就職難!! ゾンビ取りガール」は、就職難の末に、ゾンビ捕獲会社(!)のアルバイトを始めた、可愛い女の子が主人公のアクションマンガです。自作捕獲メカマニアの先輩とチームを組んで、街に突然発生した凶暴ゾンビグループと戦いますが、新人の自分にはまだ何もできない悔しさだけが残ります。私も先輩みたいにうまくなりたい!

 実録エッセーマンガでならした作者の福満さんですが、ゾンビ映画に一家言持つマニアであり、かねがね、ゾンビと戦う長編ストーリーマンガを描きたいと話されていました。たとえば、この日本にゾンビが出現した時に社会はどう反応するか(=脅威がなければやがて慣れる)、ゾンビとはどう戦えばいいか(=公的機関が乗り出すだろうが、結局、現業職員の頑張り頼りに)、その際の武器について(=日本的職人芸が発揮される)。熱弁は時に長時間にわたることもありました。

 このマンガを描くにあたり、私は正直、内容についてはあまり心配していませんでした。だって、福満さんから聞く、物語の設計図に、私はわくわくしっぱなしでしたもの!

 これは、王道のバトルアクションと、成長物語と、職場の先輩後輩の恋愛物語が、旧来からの福満ファンの方も納得の福満節で描かれた大傑作です。モーニング連載開始直後から大反響をいただきました。ようやく1巻が発売になりましたが、連載はまだまだ続きます!

 ◇書店員の推薦文 伊吉書院類家店 中村深雪さん 「エッセーマンガのファンも見逃さないで」

 ゾンビものなのに暗さがなく、ゾンビがいて当然の生活が淡々と描かれていることが新鮮。ゾンビの存在よりも、自分の職場に可愛い女の子がいることの方が大事件という先輩の感じ方も、ゾンビが日常に溶け込んでいるというリアルさを強調する。「女の子! カワイイ!」がこれでもかと伝わってくる後輩ちゃんの描写も必見。カッコよくゾンビを捕まえることにロマンを抱いている先輩の闘いぶりが実際カッコよくて、後輩ちゃんと一緒に高揚する。アクションシーンはかなりの爽快感、緊張感があるのでエッセーマンガからの福満先生ファンもぜひ見逃さないでほしい。

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