東池袋大勝軒:映画化記念で監督がトークショー 「ラーメンの神様」も来場

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 東京・東池袋にあったラーメンの名店「大勝軒」の創業者である山岸一雄さんを10年以上にわたって取材したドキュメンタリー映画「ラーメンより大切なもの 東池袋大勝軒 50年の秘密」の公開を記念して16日、東京都内で印南貴史監督がトークショーを行った。同作は、フジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」で放送された映像に新規映像を加えて一から再編集し映画化したもの。トークショーの司会はテレビシリーズでナレーションを担当したこともある同局の松尾翠アナウンサーが務め、山岸さん本人も会場を訪れた。

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 トークショーで松尾アナが「映画化にはびっくりしました」と話すと、印南監督は「僕もびっくりしました(笑い)。(テレビ版を)3回やらせていただいたあと、一昨年の11月ごろに山岸さんから携帯に電話がありました。13年近い付き合いですが、山岸さんから携帯にかかってきたのは2~3回。『3本やったものを1本にまとめられないだろうか』とおっしゃってくださり、映画化の話を進めるうえで勇気をもらいました」と、映画化にあたり、山岸さんが後押ししたことを明かした。

 松尾アナから山岸さんと初めて会ったときの印象を聞かれ、「うまく一言ではいえませんが、えもいわれぬ感じがあって撮影クルーを帰して僕だけ残り、3時間ぐらい話していました」と印南監督。「普通の人じゃない。特別な感じがします」と、山岸さんの人間的な魅力を語った。

 山岸さんが「ラーメンの神様」と周囲から呼ばれていることについては、「僕は神様と思ったことはなく、単純にラーメンを一生懸命作る。それとともに秘密を持っている」と持論を展開し、「秘密のようなものを抱えながら生きていくのは、僕らもあるじゃないですか。それは普遍的なことだし、それを映像化して見せることができればと思いました」と思いを語った。

 密着が長期に及び、数多くのシーンを撮影したが、「絶対に撮りたかったものは?」という松尾アナの質問に、「寝ている絵を撮りたかった」とコメントしたのに続いて、「大勝軒というラーメン屋が、山岸さんを中心として不思議な社会があった。その社会をいかに忠実に切り出せるのか」を念頭に置いて撮影に臨んだと振り返った。

 トークショー終盤に「今日も山岸さんから電話がありました」と印南監督が切り出し、本人が客席にいることを告げると場内からは拍手が巻き起こった。立ち上がってあいさつする山岸さんの姿に、印南監督は「一緒に(ドキュメンタリー映像を)見たことがなかったので(今日の試写会を一緒に見られて)感慨深いです」と話した。

 映画化に際して、ナレーションを俳優の谷原章介さんが担当、エンディング曲「ふるさとのメロディー」は作曲家の久石譲さんが書き下ろした。6月8日からシネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

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