「ガルパン」という作品をご存じだろうか? 正式タイトルは「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」で、美少女たちが戦車に乗り込み、戦車同士の戦いを繰り広げるというテレビアニメだ。12年10~12月と13年3月に放送されるとたちまち人気となり、舞台となった茨城県大洗町に多くのファンが訪れる“聖地巡礼”現象も起こっている。さらに5月27日付のオリコン週間DVDランキングではコラボレートした自衛隊の教養DVDが発売初週で1万5000枚を売り上げ、総合首位に輝いた。同作の魅力を解説する。(毎日新聞デジタル)
ウナギノボリ
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タイトルの「ガールズ&パンツァー」の「パンツァー(panzer)」とは英語で「戦車」を意味する。かつてはドイツ語で鎧(よろい)や装甲を意味していたが、いまは「戦車」そのものを意味する言葉となった。
「ガルパン」の舞台は、華道や茶道などと同じく、戦車を扱う「戦車道」が「乙女のたしなみ」として存在する世界。転校生の少女・西住みほが、友人たちとともに、戦車チームを組んで学校ごとに戦い、全国大会優勝を目指すという内容だ。
そして、みほが戦車道のエリートである「西住流」の出身で、家を飛び出して転校してきたこと、全国大会に優勝しないと母校が廃校になることが明らかとなり、最後は姉が率いる名門校と激突。圧倒的不利な戦力で、強大な敵に立ち向かうシーンが圧巻だ。いわゆる原作のマンガやアニメがないオリジナル作品となる。
作品の魅力は、愛らしい少女たちの学園生活シーンと重厚な戦車を扱うというギャップにある。特に戦車の動きはリアルで凝っており、大きなエンジン音や車両の揺れ具合、砲塔の回転などにも重みを感じさせ、人気を呼んでいる。
またスポ根要素にも注目だ。主人公の学校は、予算不足のためルール上定められた最大限の戦車の数を集められず、ハンディーを抱えて大会に挑む。劣勢の中、車長が一発逆転の作戦を考え、操縦手が見事な運転技術を披露、砲手が一発で敵を撃破して逆転勝利を飾るなど、一糸乱れぬチークワークには引き込まれるものがある。
むろん戦車は被弾しても人が死ぬことはなく、戦闘不能になると戦車の上に白旗が上がって負けとなる。つまり、部活動のノリに近く、友情、努力、勝利の3要素も盛り込まれているスポ根の王道を行っている。
ヒットを受けて、作品の舞台になった大洗町には、テレビアニメの放送終了後もファンが訪れている。歩き回ればアニメと同じ風景を見られるため、あたかもアニメの世界に入り込んだような雰囲気が楽しめる。今年3月には町おこしイベントが開かれ、陸上自衛隊の協力で本物の「74式戦車」が町中に展示された。また、アニメのキャラクターを描いたトヨタ「プリウス」の痛車が売り出され、239万9000円で実際に販売されたことも話題になった。
そして5月13日に発売されたDVD「よくわかる!陸上自衛隊~陸の王者! 日本を守る戦車の歴史~」がオリコン週間DVDランキングで総合首位を獲得。戦車の教養DVDという“お堅い”内容にもかかわらず人気になったのは、戦車の魅力を解説するオーディオコメンタリーにあることは間違いない。声優の中上育実さんが、テレビアニメの主要メンバーの一人、秋山優花里として、戦車の解説をしているのだが、実はこのキャラクターは戦車マニアという設定のため、マニアックだが分かりやすい解説に、今作のファン心がくすぐられ、売り上げに結びついているのだ。
「ガルパン」は、テレビアニメの放送後に、熱心なファンの声に押される形で新作OVAの制作と、劇場版アニメの14年公開が決まった。テレビアニメの放送終了後にも話題に事欠かない今作の今後の展開にも注目だ。
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