注目映画紹介:「ローマでアモーレ」 ウディ・アレン監督最新作は名声をテーマにした四つの物語

「ローマでアモーレ」の一場面 (C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC.photo by Philippe Antonello
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「ローマでアモーレ」の一場面 (C)GRAVIER PRODUCTIONS,INC.photo by Philippe Antonello

 ローマを舞台に四つのエピソードが交差するウディ・アレン監督の最新作「ローマでアモーレ」が公開中だ。コロッセオ、トレビの泉、スペイン階段などの観光名所を随所に織り込み、目にも楽しい風景が広がる。エレン・ペイジさんの可愛らしさ、真っ赤なミニドレスのペネロペ・クルスさんのセクシーさに見とれる。葬儀屋役で出ているテノール歌手ファビオ・アルミリアートさんには何度も笑わされる。

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 夏休みにローマにやって来たヘイリー(アリソン・ビルさん)は弁護士ミケランジェロ(フラビオ・パレンティさん)と恋におちる。ヘイリーの両親が娘に会いにやって来た。元オペラ演出家のヘイリーの父親(ウディ・アレンさん)は、ミケランジェロの父親ジャンカルロ(アルミリアートさん)の驚くべき才能に気づいてある提案をする……。平凡なサラリーマンのレオポルド(ロベルト・ベニーニさん)は、ある日突然大勢のマスコミに取り囲まれ、テレビ局に連れて行かれてニュース番組に出演。ローマで一番の有名人になってしまう……。そのほか、田舎からやって来た新婚カップルの妻ミリー(アレッサンドラ・マストロナルディ)の物語、米国人建築士ジョン(アレック・ボールドウィンさん)が偶然に出会った若者たちの物語など四つのストーリーが展開する。

 ローマの交差点に立つ交通整理員の前口上で「はじまり、はじまり~」と流れるように映画が始まる。ウディ・アレン監督だからこそ集まる大スターたちによってぜいたくに演じられる四つの物語は、心地よい軽さで大いに笑える。混沌(こんとん)とした物語が歴史あるローマで繰り広げられるだけで、長い人間の歴史にこういう出来事が繰り返し起こっていたに違いない、と感慨深い。展開上で特に重なり合うことはないが、「名声」というテーマが貫かれており、人には平凡に生きる者と、名声を得る者がいる、でも、名声は永遠ではないことが示されている。笑ったあとにむなしくなったあなたは「オジマンディアイス・メランコリア」に足を一歩踏み入れたのかもしれない!? 8日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)、Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。

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