和泉元彌:子供たちに狂言の心を伝える 東宝ジュニア夏期集中講座の講師に

東宝ジュニアの夏期集中講座で講師を務める狂言師の和泉元彌さん
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東宝ジュニアの夏期集中講座で講師を務める狂言師の和泉元彌さん

 狂言師の和泉元彌さんらが講師を務める東宝芸能の子どものための能力開発スクール「東宝ジュニア」で、夏休みに1週間の特別講座「夏期集中講座 東宝ジュニアサマースクール2013」が29日に開講する(8月4日まで)。元彌さんは講座の一つ「和泉元彌の楽しい狂言教室~狂言に触れてみよう~」を受け持ち、小学1年生~中学3年生を対象に600年の歴史を持つ狂言の心を伝える。元彌さんに講座への意気込みや子供たちに伝えたいことを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 元彌さんは、父・元秀さんの下で1歳半から狂言を学び、4歳で初舞台を踏んだ。狂言のけいこは口伝で型を伝えていくが、同時にその型に込められた心を受け継ぐものだという。元彌さんは「型と心を伝えてこそ芸を受け継いだことになる。狂言はすべて約束事、アドリブがないんです。けれども型という器だけでなく、生身の人間が真剣に教えてくれることで心が伝わるんです」と講座を受け持つことに意義を感じている。

 昨年の夏も同様の講座を担当した。「受講生には小学校の低学年から中学生までいて、みんな狂言についてはゼロからのスタートですが、小学生の方が教えると正確に返してきます。これまでの経験からいって小さい子の方が吸収力がとんでもないですね。1週間でどれだけ成長するか、目に見えて分かるのが楽しい」と手ごたえを感じた。

 講座では「もちろん狂言師を育てるわけではない」と断った上で、「世の中にはさまざまなルールがあり、型があるが、そこに心が流れてこそ、人に伝わる。自分の動きが心を伝えるものなんだということを感じてほしい。また、狂言を通じて600年前の日本人はこういうことが美しいと思っていたんだとか、昔の日本人の四季折々の豊かな感性、ユーモアのセンスを感じてほしい」とメッセージを送る。

 元彌さんの講座「和泉元彌の楽しい狂言教室~狂言に触れてみよう~」では、狂言の基本である小謡を通じてはっきりとした大きな声を、また「小舞」を通じて美しい立ち居振る舞いを身につけられるよう指導し、1週間の講座終了時には1曲の小舞が習得できることを目標としている。また、演劇を題材にした夏期講座「東宝ジュニアサマースクール」では狂言のほかに、ドラマワークショップやクラシックバレエ、タップダンスなど一流の講師を招いて六つの講座を開講する。場所はダイジョースタジオDスタジオ(東京都江東区)。問い合わせ先は東宝ジュニア事務局(03・3504・1517、水曜以外の平日午前10時~午後6時)。

 現在11歳の娘と8歳の息子の父である元彌さんは、小学校でPTA会長を務めるなど子供の教育にも熱心だ。「心が真っ白なうちに親が、何が正しいことなのか、大切なものは何かを子供に伝えることが大事。小学生の“血がきれい”なうちに、理想的な大人の姿を見せてあげること、それが父が言っていた、いい教育を受けることが、いい大人になる第一歩だということだと思う」と熱く語った。

 元彌さんらが出演する狂言の舞台「第135回和泉会」は23日に宝生能楽堂(東京都文京区)で開催。

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