最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、いまさら聞けない“ネクストブレーク芸人”の基礎知識を、本人たちの言葉を交えて紹介する。M-1グランプリでは2009年に準決勝進出、キングオブコントでは09年から準決勝進出の常連という実力派で、28日からは初の全国ツアーライブ「パドック」をスタートさせるお笑いトリオ「ジャングルポケット」に、メンバーについて、お笑いに対する思い、最近の仕事について聞いた。(毎日新聞デジタル)
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
斉藤慎二さん(さいとう・しんじ。82年10月26日生まれ、千葉県出身のO型。趣味・特技は競馬、競馬場巡り、ものまね、歌)、太田博久さん(おおた・ひろひさ。83年12月10日生まれ、愛知県出身のAB型。趣味・特技は柔道、格闘技観戦、和菓子、人間体重計、スポーツリーダー)、武山浩三さん(たけやま・こうぞう。82年12月2日生まれ、東京都出身のAB型。趣味・特技はもんじゃ焼き焼き、散髪、足が速い)のお笑いトリオ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。06年から活動を開始し、「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)、「爆笑オンエアバトル」(NHK)、「エンタの神様」(日本テレビ系)などに出演し、主にコントで人気を集める。
今年は、東京の吉本興業に所属する若手芸人の中から“13年の看板スター”を決定する「ing!to 2013(イング トゥ 2013)」で、お笑いトリオ「ジューシーズ」、お笑いコンビ「シソンヌ」とともにトップ3に選ばれた。現在は、深夜バラエティー番組「333トリオさん」(テレビ朝日系)、「パワー☆プリン」(TBS系)にレギュラー出演、「パワー☆プリン」は3枚目となるDVDも8月28日に発売を控えている。また7月28日からは、福岡、名古屋、広島、東京、大阪の順で回る初の全国ツアー「パドック」がスタートする。
トリオを組んだのは、養成所の東京NSCで同じ12期生だったことがきっかけ。当時の状況について太田さんは「それぞれコンビを組んでいたけれどみんな解散して、中でも目立っていた武山と組もうと思っていて、それをかぎつけた斉藤が『俺も入れてくれ』と言ってきた」と振り返る。「初めは斉藤中心になっちゃう」とトリオ結成をためらったというが、「売れればいいや。そのとき僕は中ボケになる覚悟を決めました」という。トリオ名の由来は、斉藤さんが競馬好きだったのもあるが、決めたのは武山さん。「競馬の馬の名前って、好きじゃない人も何か聞いたことがある耳に残る名前が多いと思った」といい、「あと、略したときに格好いい。『ジャンポケ』って略してもらいたかった」とこだわりを語る。
太田さんは、斉藤さんについて「NSCで出会ったときからこんな感じで仕上がっていた。役者が芸人を演じているという感じ」とそのキャラクターに感心。武山さんについては「実は3人の中では冷静に、お客さんに近い目線で見ている」と意外な役割を明かし、「あと、実家がもんじゃ焼き屋さんなんで、食わせてくれるから便利かな」と笑った。武山さんは太田さんについて「破天荒なイメージのキャラクターがついている。でもそういう人って結構真面目なんです。ノブコブ(平成ノブシコブシ)の吉村(崇)さんとか。舞台では破天荒なことを言っていて根は真面目というのがばれはじめてきてる」といい、「2人とも真面目。僕はバカじゃないけれど常識がないらしい」と語った。
斉藤さんは太田さんについて「天才だと思いますよ。僕がいろんな人に太田の天才ぶりを広めてあげなきゃ」と熱く語って太田さんを大笑い。「安心できるというか、俺が好きなようにやって大丈夫と思うのは太田がいるから」と信頼を明かす一方、武山さんについては「僕のことをバカにしていますね。僕を認めたくないのか」と語った。しかし「昔は何もないヤツだと思ってたけれど、すごいと感じることも多い。だから本当に、こうやってほしいという要望もない」と話した。
結成7年で解散の危機は3度。初めの危機は結成1年目の終わりくらいだったという。斉藤さんは「3回とも全部武山が原因」と明かす。太田さんも「武山と俺たちでうまくいっていなかった」とうなずくが「そういう解散の危機が来ると、テレビ番組(の仕事)が決まるというジンクスがあった」という。「もう一回解散しようとなったときも、『レッドカーペット』に出られるようになったりとか。不思議な縁」と懐かしむ。
最後の危機は2、3年前にあったという。太田さんは「武山が大遅刻するのが結構続いてて、どこかの学祭で武山が来なかったのが決定打になった」と振り返る。「『もう解散します』って話になって、会議室でめっちゃ話し合った。そのときのマネジャーさんがとても熱い人だったんで(説得してくれた)」と太田さんが言うと、斉藤さんは「さすがにもう、そんなこと(解散)はない。何か問題あっても、話し合って解決する」と断言したが、「(この事件は番組の)『芸人報道』で話をした。正式にはトリオではなくて、武山はジャングルポケットの研究生になったんです」と驚きの事実を明かし、武山さんは「何とか、選抜メンバーには入れるようにしたいとは感じています」と反省した。
最近は、「333」「パワー☆プリン」など、レギュラー番組が増えたといい、「たくさんテレビに出てるってすごい」「出演ランキングも上がっているらしい」「3人で出るCMも決まった」と口々に喜ぶ3人。そのなかで、4月にテレビ東京の競馬番組「ウイニング競馬」の新MCとして単独で起用された斉藤さんは「一人の仕事は怖いですね!」とうれしさより不安の方がいっぱいだという。「僕は分からないんで、(番組で)言われたことしかしゃべれない。でもやれることはやらなきゃ」と奮闘中だ。
斉藤さんの単独レギュラーについて、太田さんは「客観的に見て、『何で俺出られないんだよ』っていう状況じゃない。そりゃあ斉藤が行くだろうっていう感じ」と肯定的にとらえており、「オンエアを面白いなと思いながら見ています。ストレス半端ないじゃないですか。自分と思うと身の毛もよだちます。斉藤に頑張ってもらわないと」と激励する。一方、武山さんは「レギュラーが主体となって、斉藤君が出てる間休みができた。でも休みになると無駄遣いしちゃう。パチンコで負けているときにテレビで稼いでるのを見ると、何だよと思う」と理不尽なことを言って、斉藤さんを怒らせた。
「あこがれている芸人」を聞くと考え込んでしまう3人だが、「好きな芸人」というと、どんどん名前が挙がる。太田さんが個人的に好きだというのはロバートの秋山竜次さん。「素人の時から無条件に好きで面白くて。学生のときにレンタルビデオで『はねるのトびら』借りてずっと笑っていました。本当に面白い人いるんだなって」という。斉藤さんは「ピンでいったら劇団ひとりさんなんですけれど、グループなら今はネプチューンさん。元々すごいと思っていたんですが、『ワラリズム』という番組で僕らのネタで大笑いしてくれて、めっちゃキュンときた。トリオとして一番完成された人たちが笑ってくれると、芸人として認めてくれた気がする」と喜ぶ。武山さんは「初めて爆笑問題さんを見た時、こんなにルールがないことってあるんだなって、すごいと思ったけれど、本人たちはすごいとも思っていなさそう」と語った。
また、斉藤さんは「仲悪いコンビは相方の話をしないと思うんですよ。だからすごくいいなと思うのはフットボールアワーの後藤(輝基)さんとかチュートリアルの徳井(義実)さん、オードリーの若林(正恭)さん。一人で出ても番組で相方の話を必ずする。そういうの見てると、相方のことを考えてるなって思う。相方のこともアピールしている人っていいな」と感心した。
一方で、ライバルの芸人を聞くと、太田さんは「やっぱり近いところで言えば、パンサーですね。仲間ですけれどね、いい刺激になりますよ」と、レギュラー番組でも共演するトリオを挙げた。斉藤さんも「今はパンサーの方が(テレビ出演が)多いかも知れないけれど、まあ見てなさいよ。ゆっくり行きますよ。今までもゆっくり行っていたのでね」と自信を見せたが「ま、落馬する可能性もあるけれど」とちゃかしていた。