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11月21日(木)放送分
ウルトラシリーズで知られる円谷プロダクションは、今年で50周年を迎える。特撮を効果的に駆使した作品を数多く送り出しているが、その中で、1970年代後半に起きた“恐竜ブーム”を背景に制作された「恐竜探険隊ボーンフリー」「恐竜大戦争アイゼンボーグ」「恐竜戦隊コセイドン」が、「円谷恐竜三部作」としてDVDで6月から順次リリースされている。そのうち「アイゼンボーグ」「コセイドン」は、初のDVD化となる。「アイゼンボーグ」に出演した立花善役の上恭ノ介さんと、立花愛役の麻上洋子(現:一龍斎春水)さんに、放送当時の様子や作品への思いなどを聞いた。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
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「恐竜大戦争アイゼンボーグ」は、77年10月から78年6月まで「東京12チャンネル(現テレビ東京)」系で放送。ドラマパートはアニメーションで描き、特撮パートは実写で撮影する「立体アニメ」という手法を採用している。主人公の善と愛の兄妹愛を軸にしたシリアスな展開で始まり、中盤以降は巨大ヒーローのアイゼンボーグが登場、敵も恐竜を改造した怪獣軍団に変わるなど、物語の進行とともにエンターテインメント的な厚みを増していった。
上さんは「35年前のテレビシリーズがDVD化されると聞き、まず驚きました。当時はユニークな作り方で、特撮の実写とアニメーションの合成の『立体アニメ』というものが忘れ去れていくのには、忸怩(じくじ)たる思いがありました。収録に参加させてただいた自分としては大変うれしく思いました」とDVD化の話を聞いた印象を語る。一龍斎さんは「50周年企画として『アイゼンボーグ』がまず発売されると聞き、円谷(プロ)さんの中で作品が大切にしてもらえていることを知り、すごくうれしかった。青春がよみがえるみたいな感じで、私も上さんも新人でただひたすら必死にやっていたものがDVD になるのは本当にうれしい。家の宝物の置き場所に置かなくちゃ(笑い)」と喜びの表情を見せる。
出演のきっかけについて、上さんは「今回『恐竜三部作』といわれている最初の作品『ボーンフリー』で、隊員の小山三郎をレギュラーでやらせていただいた。それが終わるころ、新作オーディションの話を聞いて事務所に『ぜひ出させてください』と伝え、オーディションを受けたのがきっかけです」と明かす。一龍斎さんは「ありがたいことに、先に決めていただいていたみたいです。(『宇宙戦艦ヤマト』で担当した)森雪などと違って、元気でパワフルな女の子といわれ、脱皮してやってやろうという感じでした」と当時を振り返る。すると上さんは「当時、麻上さんといったら、女性キャラクター的にもうこの人の時代で、僕なんかにとっては憧れの人。(共演は)緊張しました」と照れながら語り、「うそうそ」と一龍斎さんがツッコミを入れる。
前作とは異なる役を演じた上さんは「『ボーンフリー』は、どちらかというと間の抜けたようなキャラクターでしたが、『アイゼンボーグ』では中心人物で“D戦隊”のリーダー格。常に前向きでどんなことがあっても人類を救うみたいな設定ですから、前作とは全くキャラクターが違う。逆に自分の中では、そういう猪突(ちょとつ)猛進的に一つの使命をやり遂げる方が違和感なく入っていけました。この役をやらせていただいたことが、のちのちに役立ったと思います」と立花善を演じたことで、さまざまな意味でプラスになったと語る。
当時の収録の模様は、一龍斎さんによると「音響監督さんが実写やアニメの絵コンテなど全部把握されていて、監督さんの頭の中では全部出来上がっている。でも声を入れるとき、特撮のシーンと多分同時進行なんでしょうね。全然見ることができない。さらにアニメも同時進行だったのようで……」とかなりバタバタとした収録だったとのこと。「だから上さんは、どういう叫び声になるか分からないから、長い叫びとか短い叫びとかいろいろ録音していて、かわいそうでした」と一龍斎さんが話すと、「ずいぶんそういうのはとりましたね、何パターンも……」と上さん。「のどが丈夫じゃないと善はできないと思いました」と一龍斎さんが冗談まじりに語った。
いまでも印象に残っていることを、上さんは「いろいろとあります。初期の愛と善の兄弟愛が中心にあったころのシーンでは、例えば危険な目に遭ったときなど、2人のやりとりは非常に意識しました。中盤に“アイゼンボーグ”が登場すると、恐竜との特撮部分でやりあうシーンが迫力があり見事に作られている。終盤、恐竜が怪獣と化してさらに強くなるのも、特撮部分がよくできていると感じました」と表現。一龍斎さんは「愛と善が一緒に行動しているので同じぐらいセリフがあるのかと思ったら、愛のセリフが少なかった(笑い)。なのでオフで結構しゃべったことがありました。(出撃時の)『了解』のせりふは善がアップですが、愛も言ってると思い、オフ(自分の役が画面に映らない場面)で言わせてもらいました。(台本に)書いていないのに、ここは2人で(声を入れても)OKと思ったら、どんどんしゃべりました」と臨場感を出す工夫を披露するも、「(アイゼンボーグに)合体して大きくなったら、善ばかりしゃべりムッとしました」と冗談とも本気ともつかない当時の心境を明かす。
今回のDVD 化で、改めて21世紀の世の中に紹介されることになる「恐竜大戦争アイゼンボーグ」だが、上さんが「特撮の実写の部分とストーリーが展開するアニメの部分と、うまく合成した“立体アニメ”として作られているので、初めて作品を目の当たりにした方にも十分に楽しめると思います。作られたのは70年代後半で35年も前の作品ですが、見ようによっては非常に新鮮。70年代の作品に対して、いろいろとツッコミたい人もいるでしょうけれども、いろいろな楽しみ方ができると思います」と上さんが見どころを語った。
一龍斎さんは「DVDなので細かく何回も何回も見てほしいと思います。時には早回しして倍で見るとまた違う『アイゼンボーグ』になって見えるかも(笑い)。『こんな細かいところでちゃんと人間が倒れてる』など、実写とのからみが面白いので、何回も見てもいろいろな発見ができ、飽きないと思います。私も今回、何年かぶりで見て、すっかりお客さん気分になってしまいました。女性の出演者が少ないので、いろいろなガヤの中に私が何回かしゃべっています。聴いていて『あっ、これも私。これも』と、愛のせりふが少ない分、随所でしゃべっているので、それをチェックするのも楽しみ方の一つです」とユーモアたっぷりに見どころを紹介した。
<上恭ノ介さんのプロフィル>
1950年1月8日生まれ、千葉県出身。声優、フリーアナウンサー、ラジオパーソナリティー、ナレーター。72年、TBSラジオ「ヤングタウン東京」のDJコンテストでグランドチャンピオンに輝く。東京アナウンスアカデミー卒業で、「ルックルックこんにちは」(日本テレビ)でテレビリポーターなどを務める。主な出演作は、テレビアニメ「恐竜大戦争アイゼンボーグ」の立花善、「装甲騎兵ボトムズ」のイプシロンなど。
<一龍斎春水さんのプロフィル>
1952年7月10日生まれ、北海道出身。声優・講談師。黒沢良主宰声優学校の1期生で、在学中から声優活動を始める。92年に講談師・一龍斎貞水に入門し、2004年に真打ちへ昇進。デビューから11年末まで「麻上洋子」名義で講談以外の活動を展開し、12年1月から芸名を「一龍斎春水」に改名する。主な出演作は、テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の森雪、「銀河鉄道999」の“ガラスのクレア”、映画「アメイジング・スパイダーマン3D」(12年)のサリー・フィールドさんが演じたメイおばさんの吹き替えなど。
*……DVDは「アイゼンボーグ」vol.1&2の6月21日発売を皮切りに9月まで毎月2巻ずつ全8巻リリース。
2024年11月25日 13:00時点
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