「パンズ・ラビリンス」(2006年)や「ヘルボーイ」シリーズなどで知られるギレルモ・デル・トロ監督の最新作「パシフィック・リム」が9日に公開された。海底から突然出現したKAIJU(怪獣)と、人間が開発した最終兵器、人型巨大ロボット「イェーガー」の熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられる今作。「イェーガー」には2人のパイロットが乗り込み、彼らが心を完全にシンクロさせることで動かすことが可能になる。そのパイロットの一人マコ・モリに菊地凛子さんがキャスティングされ、その幼少時代を人気子役の芦田愛菜ちゃんが演じている。洋画にキャスティングされ、「びっくりしました。でも、外国でもお芝居できるんだと思うとうれしかったです」と話す愛菜ちゃんに、映画の見どころなどを聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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「自分の出ているシーンを見るのは恥ずかしかったです。でも、ものすごい迫力があってびっくりしました。映画を見ている間に体に力が入っちゃって、終わったら汗びっしょりでした」と笑顔で語る愛菜ちゃん。ロボットが出てくるシーンは「ちょっと怖かったです」と答えるあたりに9歳らしい素顔がのぞく。
日本ではさまざまなドラマや映画で引っ張りだこだが、今回は初めてのハリウッド映画。撮影はカナダのトロントで行われたそうだが、楽屋が「ベッドもついた、一人1台のキャンピングカー」だったことに驚き、ケータリングも充実していて「スープとか、できたてのホットドックとか生野菜とかを、(撮影で)カットがかかるたびに(スタッフが)運んできてくださって、日本ではないことなので不思議な感じでした」と話す。
愛菜ちゃんが演じるのは、イェーガーの優秀な日本人研究者で、ローリー・ベケット(チャーリー・ハナムさん)とともに米国製イェーガー「ジプシー・デンジャー」を操縦するモリ・マコ(菊地さん)の幼少時代。マコは子どものころ、家族をKAIJUに殺されており、愛菜ちゃんはそのシーンでKAIJU相手に熱演している。セットは組まれていたものの、実際にはいないKAIJUを想像しながら演技した。撮影当時のことを聞くと、「スタッフルームみたいなところにKAIJUの模型とか絵が飾ってあって、それを撮影前に見せていただいて、こういうのが襲ってくるんだなというのをイメージしました」という。そのときはKAIJUの大きさを「ビルと同じくらい」と考えていたが、完成した映画を見て、「ビルよりも大きかったです。これほど大きいとは思わなかったです」とその巨大さに驚いたそうだ。
菊地さんとは共演シーンはないものの、菊地さんがオフの日にわざわざ会いに来てくれたことを明かし、「マコの幼少役に愛菜ちゃんが選ばれてうれしかったといってくださって私もうれしかったです」とにっこり。また、デル・トロ監督については「トトロみたいな人。優しい監督さん」と表現し、「シーンがイメージしやすいように絵コンテを見せてくださったりとか、私は英語が分からなかったので身ぶり手ぶりで説明してくださったりしました」とすっかり信頼し切っていたようだ。
そのデル・トロ監督から演技力を絶賛された愛菜ちゃん。これからも海外からオファーがあれば、「チャンスをいただければ、どんな作品でも出演してみたいです」と力強く答える。
憧れの女優として、中谷美紀さんと今回初めて顔を合わせた菊地さんを挙げたので、将来は菊地さんのような海外でも活躍できる女優さんだねと水を向けると、意外にも「薬剤師さんをしている女優さんになりたい」と「二足のわらじ」宣言。薬剤師になりたいのは、白衣姿に憧れているのと、「(薬を)調合したりするのが楽しそうだから」と9歳らしく夢を語る。9歳らしいといえば、「お化けと暗闇が怖い」のだそうだ。
また、撮影中に印象に残ったこととして「ナイアガラの滝を見に行った」ことを挙げ、「近くまでボートでびしょぬれになりながら見にいったのは楽しかったです」と答えるあたりも小学生らしくてほほえましかった。
そんなふうに素顔はいたって9歳の小学生らしい愛菜ちゃんだが、映画の好みは結構“大人”で、最近見て面白かったものに「ハリー・ポッター」シリーズや「ネバーエンディング・ストーリー」はともかく、「グレムリン」や「ゴーストバスターズ」、さらには「スクール・オブ・ロック」を挙げる。お化けは怖いけれど、「グレムリン」や「ゴーストバスターズ」のようなファンタジー色が加わっている作品は「大丈夫」なのだそう。
その一方で、「パシフィック・リム」については、「3Dだから結構リアルで怖いです」としっかりアピール。さらに「太平洋の中から怪獣が現れるんですけど、この人型巨大兵器イェーガーというロボットに人間が乗り込んで地球を守るために戦うというお話です。ぜひ映画館で見てください」とコメント。ちなみに、あなたがマコだったらKAIJUと戦うか?とたずねると「練習ならやってみたいけれど戦うのは……」とこれまた子供らしいリアクションを見せていた。映画は9日から全国で公開中。
<プロフィル>
2004年生まれ、兵庫県出身。ドラマ「Mother」(10年)での演技で注目され、以来、引く手あまたの人気子役に。主な出演作に、映画「怪盗グルーの月泥棒3D」(10年)の吹き替え、「阪急電車 片道15分の奇跡」(11年)、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」(11年)、ドラマ「マルモのおきて」(11年)、映画「ライアーゲーム−再生−」(12年)など。前作に引き続き吹き替えを担当した「怪盗グルーのミニオン危機一発」(13年)と出演作「くじけないで」の公開を9月と11月に控えている。
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