風立ちぬ:“アカデミー賞の前哨戦”トロント映画祭に出品決定

「風立ちぬ」のメーンビジュアル (C)2013 二馬力・GNDHDDTK
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「風立ちぬ」のメーンビジュアル (C)2013 二馬力・GNDHDDTK

 7月20日に全国343館454スクリーンで公開され、約1カ月で動員580万人突破するヒットとなっているスタジオジブリの劇場版アニメの新作「風立ちぬ」(宮崎駿監督)が、イタリアのベネチア国際映画祭(8月28日~9月7日)に続き、カナダの「第38回トロント国際映画祭」(9月5日~9月15日)にも出品されることが決定した。トロント国際映画祭は、ベルリン、カンヌに次ぐ北米最大規模の来場者数を誇る映画祭で、ハリウッドでは“アカデミー賞レースの前哨戦”として注目を集めている。

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 トロント国際映画祭は、1976年に創設されて以来コンペティション部門がなく、最高賞の観客賞(ピープルズ・チョイス・アウォード)は観客の投票によって決められるため、商業目的ではない映画ファンのための映画祭として広く知られている。2003年には北野武監督の「座頭市」が観客賞を、12年は園子温監督の「希望の国」がNETPAC審査委員賞を受賞するなど、日本映画はこれまでにも高い評価を受けている。

 今回、「風立ちぬ」は世界を代表する映画作家の作品を集めたスペシャル・プレゼンテーション部門に選出された。すでに同映画祭には是枝裕和監督の「そして父になる」や松本人志監督の「R100」などの上映が発表されているが、同映画祭の関係者が日本のスタジオジブリ試写室で「風立ちぬ」を見て感涙し熱烈なオファーを受けて、急きょ追加で出品が決定した。これまで同映画祭には、スタジオジブリが本格的に北米配給の展開をはじめた99年に「もののけ姫」が、01年には「千と千尋の神隠し」(01年)が出品され、また、11年に「コクリコ坂から」が出品された際には宮崎吾朗監督が現地に赴いた。

 同映画祭のアーティスティックディレクター、キャメロン・ベイリーさんは「『風立ちぬ』は一人のアーティストが全力をかけて作り出した、美しくも力強い映画です。トロント国際映画祭で宮崎駿監督の最新作を北米でいち早く上映できることを大変誇りに思います。トロントにはいままでの宮崎作品を知るファンが本当にたくさんいます。私は『風立ちぬ』が上映されることを楽しみにしています。そして本作が私同様、観客のみなさんを魅了してくれることでしょう」と出品を喜んでいる。

 「風立ちぬ」は、宮崎監督が雑誌「Model Graphix(モデルグラフィックス)」(大日本絵画)の09年4月号~10年1月号に連載したマンガを基に、堀越二郎という実在したゼロ戦の設計者の生涯と、結核の美少女が登場する堀辰雄の「風立ちぬ」をイメージした物語。主人公・二郎の声を「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの総監督として知られる庵野秀明さんが、ヒロイン・菜穂子の声を女優の瀧本美織さんが担当している。(毎日新聞デジタル)

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