ミュージカル「セーラームーン」:オール女性キャストに手応え 13日から上演

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン −La Reconquista−」に出演する(左から)坂田しおりさん、大久保聡美さん、七木奏音さん
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ミュージカル「美少女戦士セーラームーン −La Reconquista−」に出演する(左から)坂田しおりさん、大久保聡美さん、七木奏音さん

 人気マンガ「セーラームーン」のミュージカルが8年ぶりに復活し「美少女戦士セーラームーン −La Reconquista−」として13日から上演される。キャストが全員女性ということで注目されており、プロデューサーを務め「ミュージカル『テニスの王子様』」(テニミュ)シリーズなどアニメやマンガが原作のミュージカルを数多く手掛けて成功に導いてきたドワンゴの片岡義朗さんも手応えを感じているようで「(アニメやマンガなどを原作にした)ミュージカルはここ20年の間に200万人マーケットまで成長している。ほかの舞台との差別化を図る意味でもはっとしてもらいたい。全員女性というのはまだ珍しいと思う」と語った。片岡さん、そしてオーディションで選ばれた“10年代の美少女戦士”であるセーラームーン役の大久保聡美さん(17)、マーズ役の七木奏音さん(16)、ヴィーナス役の坂田しおりさん(22)、そして原作マンガ連載当時、作者の武内直子さんの担当編集を務めた講談社の小佐野文雄さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「美少女戦士セーラームーン」は1992~97年に少女マンガ誌「なかよし」(講談社)に連載された武内さんのマンガが原作。ドジで泣き虫な中学2年生の月野うさぎが愛と正義の美少女戦士セーラームーンに変身し、仲間の美少女戦士たちと活躍する変身美少女アクション。アニメは92~97年に放送され、人気を博した。ミュージカルは93年から05年まで、27作計800回以上上演されたヒット作で、武内さんの原作マンガの登場20周年を記念するプロジェクトの一環で“復活”することになった。

 セーラー戦士はほかに、マーキュリーを松浦雅さん(18)、ジュピターを高橋ユウさん(22)が演じるほか、タキシード仮面を元宝塚男役トップスターの大和悠河さん、セーラー戦士たちの敵となるダーク・キングダムのクイン・ベリル役を初風緑さん、部下の四天王クンツァイト役を彩夏涼さんと宝塚出身の役者が脇を固める。

 ◇オーディションには武内直子さんも同席

 ミュージカルのオーディションは武内さんも審査員として同席したといい、坂田さんは「座っていたときに(武内さんと)すごく目が合った。待っている間の動作とか素の部分を見ていたんじゃないかな」と振り返る。大久保さんは「私は口が開いていたみたい……」とセーラームーンこと月野うさぎそのもののちゃめっ気を見せ、笑いを誘った。松浦さんや高橋さんも含めたセーラー戦士の5人は普段から仲が良く、スマートフォン向け無料通話・チャットアプリ「LINE(ライン)」でやりとりをしているといい「(ラインの)アイコンを自分たちが演じる戦士の顔にしているんです」と明かし現代っ子らしい一面をのぞかせた。

 一方、武内さんと一緒に審査に関わった小佐野さんは「武内先生と片岡さんの選びどころが似ていた」と明かす。オーディションが行われたのは4月というが「(ミュージカルが上演される)9月の本番に向け、彼女たちが成長する分を見込んで選んでいた」と指摘。8月に行われた製作発表会でセーラー戦士が登場した際のネットやツイッターでの反応が良かったことでも、武内さんや片岡さんの“先見の明”を再認識したという。小佐野さんは「ものを選ぶとはこういうことなんだなって思った」と舌を巻く。

 ◇セーラームーンの魅力は…「女の子の強さ」

 観客のターゲットは「全方位」といい、小佐野さんは「昔のファンの人にも今のファンの人にも来てほしい」、片岡さんは「マンガが連載されていた当時、小5~中1だった子が結婚されて子供がいる人がたくさんいる。娘さんの手を引いて来てほしい。もちろん美少女キャラが好きな男性の方にも」と笑う。

 セーラームーンの魅力を主役の大久保さんは「女の子ってキラキラが大好き。セーラームーンなんてキラキラそのもの。女の子の憧れがすべて詰まっている」と目を輝かせながら語る。片岡さんは「女の子の強さ」を打ち出した点を評価する。「今までは呪文で変身するとか、偶然に事件に巻き込まれるというような作品はあったと思うけれど、目的意識に戦うという意識を持っている5人の美少女たちの作品というのはなかった」と指摘し「原作を読み直してみて、改めて普遍的な価値があると感じた。(92年当時の)時代がこういう作品を待っていたんだと思う。武内先生は時代の空気を感じ取っていたんだと思う。自分が感じ取ったことを創作者として表現しようとしたときに、ちょっと先の時代を映し出して時代を回したんだと思う」と“90年代少女マンガの金字塔”とも呼ばれる同作を改めて評価した。

 大久保さんは「皆の期待に応えられるように、うさぎちゃんとセーラームーンを愛しつつ演じたい」、坂田さんは「皆から愛されていたという原点のところは変えずに違った魅力も見せていけたら」、七木さんは「お客さんにレイちゃんじゃないって言われないように、近づけるようにしていきたい」と意気込む。片岡さんも「衣装の素材のキラキラ感やかつらなどの技術的な変化が舞台を新しく見せてくれると思う。視覚的な驚きには自信があります」と自信を見せる一方で、「強烈な普遍的な価値を持った作品なので、新しく作り替えようとは思っていない。素直に原作が持っている良さを舞台に移しかえたいと思う」と力を込めた。

 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン −La Reconquista−」は「AiiA Theater Tokyo(アイア シアター トーキョー)」(東京都渋谷区)で13~23日(17日は休演)に上演。なお、23日の千秋楽公演はインターネット動画配信サイト「ニコニコ生放送」で有料配信される。

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