ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
フラッシュアニメ「秘密結社 鷹の爪団」の3年ぶりとなる劇場版新作「鷹の爪GO~美しきエリエール消臭プラス~」が全国で公開中だ。“地球に優しい世界征服”がモットーの秘密結社「鷹の爪団」が、悪の帝国と機械生命体の惑星による宇宙戦争に巻き込まれていく顛末(てんまつ)を描く。劇場版について、脚本・キャラクターデザイン、声の出演をしながらメガホンもとった「蛙男商会」のFROGMAN監督と、物語の重要な鍵を握るオキテマス・ヨルニー役で声優デビューを果たした、女優でモデルの河北麻友子さんに話を聞いた。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
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今作の製作の経緯について、FROGMAN監督は「(劇場版を)3年間作っていなくて、その前はほぼ毎年ぐらいのペースで劇場版を作っていたので、ちょっと間が開きすぎたな……と。NHK Eテレでの放送が始まり、全国で子どもたちに『鷹の爪』の認知が我々が考えていた以上に強烈に広がった。視聴率もすごくいい中で、そろそろ結果みたいなものを出していかないと……ということで、映画を選んだというのはあります」と明かす。河北さんは「鷹の爪」のイメージを「映画館で(本編が)始まる前に(マナーCMなどで)見ることが多かったんですが、それがすごく面白い。いつも何なんだろうと思いながら笑ってしまい、すごい印象に残る作品です。誰もが知っている気がします」と語る。
河北さんの発言を聞き、FROGMAN監督は「興味がなくても見たことがあるという人は結構多い。ただ、なかなか(お金を出して)見るまでに至らない(笑い)。そこを河北さんの力をお借りして、見たい映画にしていこうと思いました」と自虐的に語り笑いを誘った。河北さんは「最初に(お話を)いただいたとき、あの『鷹の爪』なのかなと思って。声優もやったことないし、マネジャーさんからも声優をやるとはいわれないままスケジュールに組み込まれていました」と出演が決定したときを振り返る。続けて、「マナーの作品に河北麻友子として、マナーの悪い女の子で出るのか、どういうふうに入っていくんだろうと思っていました」と当時の心境を語る。
物語のキーパーソンとなるヨルニー役を河北さんが声優初挑戦で担当した。FROGMAN監督は「すごく悩みました。ヨルニーという役はコメディエンヌで、笑いを取る役でもありヒロインでもあり、なおかつシリアスな演技もある。登場シーンも多く、よほどお芝居に慣れている人じゃないとできないと思っていました。映画やテレビで女優さんとして頑張っていても、声優としてはお芝居の質が変わってくる。そこをちゃんとして選んでいかないといけない」とキャスティングで注意した点を語る。「河北さんは帰国子女だということで、言葉については言いよどんだり少しイントネーションがよれたりする部分もありましたが、実はそこがかえってヨルニーの天真爛漫(てんしんらんまん)さとかを表現している。河北さんの持つ天真爛漫さみたいなものが、ものすごくヨルニーのキャラに合いハマっていきました。むしろ僕が考えていたヨルニーよりも数倍よくなっています」と河北さんの演技を絶賛した。
FROGMAN監督の言葉を受けて笑顔を見せた河北さんだが、アフレコ現場では「監督がいろいろな声をやっていて『本物がいる!』と感動しました。自分の(収録)に入る前に圧倒されちゃいました。一人でほぼ全員やっているのは本当にすごい」と監督の演技力に驚かされたという。FROGMAN監督は「女優さんにそういうふうに言ってもらえて光栄です。奥さんが河北さんを大好きなので家に帰って自慢しよう!」と笑いながらも、「今だから言いますけど収録しているときは不安でした(笑い)。(アフレコに)慣れてしまい“寒く”なるのが怖くて、一発録(と)りでほぼ終わりました。(録音したものを)持ち帰ってアニメにはめてみたら予想以上によくて、天性のものだと思いました。彼女の持つコメディエンヌとしての才能や明るさ、父親を思う愛情がストレートに出ていてよかったです」と評した。河北さんは「最初ヨルニーが登場するときはすごく恥ずかしくて、自分の声だから声だけが聞こえてきてしまい、はじめは嫌でしたが、見ていくうちに慣れました」とアフレコの感想を語った。
実写とは異なり、声だけの演技でキャラクターを表現するが、河北さんは「監督とお話ししながら『こういう感じでは』みたいに進めました。声だけに集中するので、すごく緊張しました。やっていくうちに顔などが出ないのでしゃべりやすく口を動かしたり、普段のお芝居ではできないことが逆にできたので勉強になりました」と声優の苦労を語る。FROGMAN監督は「こういうキャラクターというのを説明し、後はその場で修正しながらやっていました。河北さんの演じやすいように演じてくれればということで、あまり要求しているつもりはないと思っています。お芝居は自分をさらけ出す瞬間なので、あまり要求されると、もっとやれるはずなのにみたいなことがやれなくなってしまう。あまりややこしいことは言わず、まずやりたいことだけをお伝えして、後はお芝居をしてもらいNGでなければOKというスタンスです」と演出のこだわりを明かした。
劇中にはブラックユーモアが数多くちりばめられている。「一言多いと昔から言われていて、親にたしなめられていたところもある。報道カメラマンのアシスタントをやっていた時期があり、そこでいろいろなものを見せてもらいました。メディアが果たす役割とかエンターテインメントが果たす役割はただ人を喜ばせるだけではなく、何か気付きのようなものを見せたほうがいいということを報道の先輩に言われたことがありました。映画業界にずっといるので、ちょっとそういうのはある。アニメであろうとなんだろうと、少し皮肉というものを加えるのが、もう勝負になってしまっている」とFROGMAN監督。河北さんは「すごく分かりやすい子ども向けの笑いと、皮肉、大人へ向けての笑いがどっちもあって、どちらも笑えるから本当に楽しくて面白かったです」と感想を述べた。
お気に入りのシーンについて、河北さんは「ヨルニーのお父さんが全部隠していて、本当は司令官じゃないと分かるシーン。あそこは本当に感動して、吉田くんの慰め方もすごいリアルで可愛くて、あのシーンがすごい好き。すてきだなって思います」と話す。一方、FROGMAN監督は「一番最初のヨルニーが出てきたシーンは、すごく可愛らしくていい。『オキテマス、オキテマス』というフレーズが可愛い。なんでこの子はこんなにウキウキしているのだろうという感じの声が、僕の作品からするとすごく異質でいい」とお気に入りのシーンと理由を明かした。
これから映画を見る人に向けて、河北さんは「親子で一緒に見られるような映画で、感動や笑いなど全部が詰まっていて、見ていて飽きない。絵を見ているだけでも面白いし、見れば見るほどいろんなところに気を向けられる。何回見ても面白いのでぜひ、劇場で見てほしいと思います」と見どころを語る。FROGMAN監督は「大人も子どもも楽しめるエンターテインメントをずっと目指してきていて、大人と子どもが一緒に見てもらいたい作品に仕上げようと思っていました。そういった作品になっていると思います」と自信を見せる。「総統と吉田くんの擬似親子というのがここで関係を一つはっきりさせ、親子というか友情というかなんともいえない関係、今、SNSなどで人のつながりが変化しつつありますが、シンプルで正しいのは、お互いがお互いを向き合って本当のことを言い合う、ぶつかり合うことが一番大事だろうと思う。魂のぶつかり合いをできる関係こそが一番の絆なのではということを感じ取ってもらえればいいですね」と熱弁した。映画は全国で公開中。
<FROGMAN監督のプロフィル>
1971年生まれ、東京都出身。映画やドラマの制作スタッフとして十数年のキャリアを積み、ある映画の仕事で島根県を訪れたのを機に島根に移住。2004年に初めて作ったウェブアニメ「菅井君と家族石」を発表すると、エッジの効いた作風と制作手法が口コミで話題になる。06年に地上波で放送された秘密結社鷹の爪団が登場する「THE FROGMAN SHOW」でブレーク。テレビ、CM、映画など、次々に新作を世に送り出している。
<河北麻友子さんのプロフィル>
1991年11月28日生まれ、米ニューヨーク州出身。2003年に第9回全日本国民的美少女コンテストでグランプリ、マルチメディア賞をダブル受賞し、05年に「世界組TV」(フジテレビ)でドラマに初出演。現在、「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)の金曜レギュラーや、ファッション誌「ViVi」の専属モデルなど幅広く活躍中。今年7月に「雨のち晴れ」で歌手デビューも果たす。
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