注目映画紹介:「R100」 松本人志監督いわく「アホの極致」に到達したシュールな仕上がり

(C)吉本興業株式会社
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 「大日本人」「しんぼる」「さや侍」とこれまで3作の監督作を送り出している漫才コンビ「ダウンタウン」の松本人志さんの4作目の監督作「R100」が5日、全国で封切られた。脚本も松本さんが手掛けた。これまでは自身が主演、あるいは演技未経験の一般人を主演に起用するのが松本作品の特徴だったが、今回は主演に俳優の大森南朋さんを起用し、大地真央さん、寺島しのぶさん、片桐はいりさん、冨永愛さん、佐藤江梨子さん、渡辺直美さんら豪華な顔ぶれがそろった。それもあって従来の松本作品に比べ、娯楽性に富んだ作品に仕上がっている。

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 大森さんが演じるサラリーマンの片山貴文は、謎のクラブ「ボンデージ」に入会する。ボンデージファッションに身を包んださまざまなタイプの美女たちが、片山の日常生活に現れては、彼をこれまで味わったことのない世界へと誘っていく。ところが、内容が徐々にエスカレート。耐え切れなくなった片山は途中退会を申し出るがクラブ側に聞き入れてもらえず、事態は一層深刻になっていく……という展開。

 タイトルにある「R」とは、映画倫理委員会による映画区分「R15+」(15歳以上鑑賞可能)などの「R」のこと。それが「100」というのだから、とんでもない内容であることは予想された。案の定、映画を見ながらあっけにとられっぱなし。ただ、相当なエロとグロの世界を覚悟していたが、そこまでではなく、ほどよくお色気が混じり、ほどよくブラックで、クスりと笑えるシーンもあるシュールな仕上がりだった。さらにどこかホラーめいていて、視覚効果によって大森さんの普段見たことのない表情が見られたりもする。観賞中、頭の中で?マークが点滅しまくっていたが、それらを「映画関係者」なる登場人物たちが代弁してくれ、「さすがはツボを押さえている」とひざを打ちたくなることがしばしばあった。自虐も混じり、松本監督いわく「アホの極致」に到達しており、ここまで振り切ってもらえれば、むしろ潔いと感服させられた。ほかに前田吟さん、YOUさん、松尾スズキさん、渡部篤郎さんらが出演。松本監督自身もさりげなく出演している。5日から丸の内ルーブル(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(1978年)と「恋におちて」(84年)。おばさんにはスマホはやっぱり使いづらい。ということで、いわゆるガラパゴス携帯に戻した。にもかかわらず、液晶画面の「OK」を指で押し画面が変わらないとイラついている自分がいる。ああ情けない……。

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