注目映画紹介:「死霊館」 「ソウ」の監督が仕掛ける新ホラー 見終わって感傷的な余韻に浸れる

「死霊館」の一場面 (C)2013 WARNER BROS.ENT.ALL RIGHTS RESERVED.
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「死霊館」の一場面 (C)2013 WARNER BROS.ENT.ALL RIGHTS RESERVED.

 1970年代に実際に起きた事件をベースにしたホラー映画「死霊館」が11日から全国で公開された。本国の米国では7月の公開時初登場1位を獲得した作品で、「ソウ」シリーズを世に送り出したジェームズ・ワン監督が手掛けた。2010年製作の超常現象スリラー「インシディアス」も大成功を収め、その続編「Insidious: Chapter 2(原題)」も先ごろ全米で公開され好成績をあげている注目の監督だ。

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 1971年、米ロードアイランド州にある一軒家に引っ越してきたペロン夫妻(ロン・リビングストンさん、リリ・テイラーさん)と5人の娘たち。幸せな新生活が始まると思いきや、奇妙なことが次々と起こり始める。やがて危害が娘たちに及び始め、ペロン夫妻は悪魔研究家のエド(パトリック・ウィルソンさん)と透視能力があるロレイン(ベラ・ファーミガさん)のウォーレン夫妻に助けを求めることにする。

 1960年代から活躍を始めたウォーレン夫妻は、数々の心霊現象を解決してきたその道のプロらしい。その夫妻が、あまりにも邪悪過ぎるために40年以上も極秘にしていた事件が一つだけあり、それが今作のモデルとなった事件だという。何がどう怖いと表現することがなかなか難しい。それでも、見えそうで見えない“それ”が見えたり、気を許すと何かが映っていたり……。ホラー映画の常套(じょうとう)手段と分かっていても驚かずにいられない。そのフェイントのかけ方が他のこの手の作品とは微妙に違っており、だからこそ心臓をわしづかみにされるような恐怖を感じる。

 しかし本当に心臓をわしづかみされるのは、悪霊に立ち向かう人々の姿だ。娘たちを守ろうとする母、母である妻を助けようとする夫、そんなペロン一家を助けようとするウォーレン夫妻。そのウォーレン夫妻も葛藤を抱えており、彼らそれぞれの思いが一つに合わさり、悪霊と対峙(たいじ)しようとする姿に心打たれるのだ。怖さで売るホラー映画はこれまでもたくさん見てきたが、見終わって感傷的な余韻に浸れる映画は、この作品が初めてかもしれない。11日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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