注目映画紹介:「攻殻機動隊ARISE border:2」3DCGを生かす多彩なアクション

「攻殻機動隊ARISE border:2」の一場面 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
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「攻殻機動隊ARISE border:2」の一場面 (C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

 士郎正宗さんのマンガを基に、スタッフやキャストを一新し全4話でアニメ化した「攻殻機動隊ARISE」の2作目となる「攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers」が公開中だ。「攻殻機動隊ARISE」は黄瀬和哉総監督、シリーズ構成と脚本に作家の冲方丁(うぶかた・とう)さんなど豪華スタッフが顔をそろえる。第2弾の今作では新たなキャラクターなどが登場し、草薙素子がAI搭載の自立型支援車両ロジコマの破壊を狙う武装集団との戦いを繰り広げ、自らがリーダーの部隊創設までを描く。アニメーターでメカデザイナーの竹内敦志さんが第2話の監督を務めた。

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 自身の部隊設立を考えていた素子(声・坂本真綾さん)は、荒巻(声・塾一久さん)の要請で何者からかハッキングされたロジコマ(声・沢城みゆきさん)を調査のために移送する。道中、バトー(声・松田健一郎さん)やボーマ(声・中井和哉さん)、イシカワ(声・檀臣幸さん)ら武装集団の襲撃を受ける。武装集団は難民虐殺の罪に問われている混成78部隊の元上官ソガ・カズヤ大佐(声・沢木郁也さん)の無実を証明すべく、特殊軍事モジュールで電子的作戦を進めていたが、並列解除コードの複製がロジコマに隠されていたため破壊を狙っていた。素子は、情報をもたらした米軍情報部エージェントのヴィヴィー(声・藤貴子さん)や陸軍警察のパズ(声・上田燿司さん)、海兵隊のエーススナイパーのサイトー(声・中國卓郎さん)をスカウトし反撃に出る……という展開。

 今作の見どころは、何といってもアクションシーン。3DCGを生かした大がかりな仕掛けやカメラワークなどはド迫力で、完成度の高さに驚く。アクションにかなりの時間を割いているが、速度を一定にしたり長回しの音楽やスローモーションをはさむことで流れを引き締め、物語を見やすくしている。ストーリー的には素子の仲間集めというテーマがあり、攻殻ファンおなじみのキャラクターが次々と顔を見せるが、登場の仕方が実に見事。“素子対9課”という、ありそうでなかった展開に心がくすぐられる。親しみやすい存在として登場するロジコマの可愛らしさは、一家に一台(!?)ほしくなるほど。いよいよ“らしさ”が増してきた新シリーズの次回作が早くも待ち遠しい。TOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で13日まで期間限定で公開中。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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