2012年末に上演され、好評を博した舞台「ライチ☆光クラブ」がきょう16日から再演される。前回に続きタミヤ役を演じる中尾明慶さんが、作品の魅力や再演でパワーアップした部分などを語った。また、俳優として2013年を振り返りつつ、2014年の展望を語った。(榑林史章/フリーライター)
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−−耽美(たんび)的な内容の「ライチ☆光クラブ」が、昨年末の上演で好評を得て再演されます。率直にどんなお気持ちですか?
実はあまり再演という感覚はないんです。佐津川愛美ちゃんをはじめとした新たな出演者と一緒に、また一から作ったという感じ。ただ、まったくの手探りではなくて。昨年作ったものをなぞりつつ、新しく加えた部分もあれば省いた部分もあって、より洗練されてパワーアップした印象ですね。
−−舞台に臨む気持ちもパワーアップしている?
もちろんです。僕自身この1年でさまざまな現場を経験させていただいたし、出演者のみんなもそれぞれの経験を持って再集結しているので、すべてがパワーアップしています。同じせりふであっても、発し方が変わったり、とらえ方が変わったりしているので、役者にとっての1年ってすごく大きいんだな、と実感しています。
−−共演の木村了さんとも1年ぶりですか?
ちょこちょこメールで連絡は取っていたけど、実際に会うのは1年ぶりですね。了はもともと安定感があるから、一緒にお芝居をしていても安心できるし、やりやすくて、それがさらに増したっていうか……。ゼラという役どころもあると思うけど、貫禄が出てきたんじゃないかな。
−−今回の新たな見どころは、どんなところですか?
一つは、劇場が大きくなったことでセットも豪華になっています。あと殺陣の先生がいらしてアクションのけいこもしたので、アクションシーンもパワフルになりました。それによって、死に方もより豪快で派手なものになりました。もちろん流血シーンもすごくなって。血しぶきを出すマシンが新しくなったり、仕掛けも大幅にパワーアップしていますね。演じる側としては、前回をなぞってる部分も多いんですが……。たとえばカノン役の佐津川ちゃんとやりとりするシーンとか、相手が変われば僕がどんなに前回をなぞっても影響を受けて変わりますから。お客さんからしたら、新鮮に感じるところがたくさんあると思います。
−−中尾さんの思う「ライチ☆光クラブ」の魅力は?
「ライチ☆光クラブ」はグロくて、破滅へと向かって進むお話。だけどそれだけじゃなくて、要所要所で人間の感情の美しさも感じてもらえると思います。残酷なショーという見方をされる方もいると思いますが、実はこの作品の魅力はそこじゃない。ライチという機械も含めて、登場する人間の美しい感情、心の光が魅力だったりするのかなって……。あくまでも僕の考えですけどね。怒濤(どとう)のように物語が過ぎてポカンとなったとき、必ず何か感じてもらえると思います。
−−そんな「ライチ☆光クラブ」で締めくくった2013年はどんな1年でしたか?
とにかくあっという間でした。プライベートでは結婚して子供も生まれた(4月に女優の仲里依紗さんと結婚、10月に第1子男児が生まれた)し。仕事の面では、映画の撮影が何本かあったけど、夏に別の舞台があって年末にこの「ライチ~」があって。劇場色の強い活動でした。それもあって、2014年は映画に力を入れたいかなって思っています。舞台は、もうしばらくはいいかなって(笑い)。あ、もちろん舞台は好きなんですけどね。
−−舞台は生で見せるという部分で精神的に疲れますからね。
そうなんです。大勢のお客さんに見られて、その緊張感の中で毎回2時間がっつり芝居をするのはかなりしんどい。でも1カ月かけてけいこして、一つの作品を一丸となって作り上げていく作業はすごく楽しくて、舞台が終わったときは役者としての技術が向上しているのが自分でも分かるんです。そうなると、それを別のフィールドでも試してみたくなるというのがあって。役者ってその繰り返しなのかなって思うし。そういうサイクルで言うと、2014年は映画かなって。
−−ご結婚されたことで、仕事に対する向き合い方は変わりましたか?
気持ちはすごく変わりましたよ。一人のときは、自分がやりたいことをやっていればよかったけど、家族を養うためにはいろいろなことにも果敢に挑戦していかないといけない。そこでのあり方みたいなものを考えるようになりました。よくイクメンと聞くけど……もちろん僕も手伝いくらいはするけど、子供にとってはやっぱりお母さんだし、家のことはお母さんがうまいですよね。じゃあ男にできることといったら、仕事なんです。
−−背中に家族を感じながら仕事をすると。
だから、奥さんと子供の分も加わってプレッシャーは3人分ですよ(笑い)。もし僕が変な芝居をすれば、家族が何か言われてしまう。子供が大きくなったらなおさらで、自分がへたな芝居をしたせいで子供がイジメられたらどうしようとか、そういうこともリアルに考えるようになりました。
−−家での時間の使い方とか変わりましたか? 家で台本が読みづらくなったとか。
時間のことでは、朝早く起きるようになりました。夜早く寝るようになったわけではないんだけど、子供がまだ小さいのもあって。台本は、もともと車とか現場に早く行って覚えたりするタイプなんだけど、家でも普通に開きますよ。そこは奥さんも同じ仕事なので、理解があるんだと思う。
−−家族の存在がモチベーションになって、2014年はもっといい仕事ができそうですね。
乞うご期待じゃないけどね(笑い)。子供が大きくなればなるほど、家族の存在は仕事の面でも大きくなると思う。家族のための時間と仕事の時間というふうに、どんどんメリハリも生まれていくと思うし。どんなふうになっていくのか、自分でも楽しみです。
<プロフィル>
1988年6月30日生まれ、東京都出身。2000年にデビュー。ドラマ「3年B組金八先生」「ウォーターボーイズ2」「ドラゴン桜」など数多くのドラマに出演。2008年には関川役を演じたドラマ「ROOKIES」が大ヒットした。舞台や映画にも数多く出演し、2014年は映画「東京難民」「俺たちの明日」「L・DK」の公開が控えている。古屋兎丸さんのマンガが原作の「ライチ☆光クラブ」の再演はAiiA Theater Tokyo(東京都渋谷区)で2013年12月16~24日に公演。
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