マンガ質問状:「蒼き鋼のアルペジオ」 女の子は可愛く&艦船はリアルに

「蒼き鋼のアルペジオ」8巻の表紙
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「蒼き鋼のアルペジオ」8巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、マンガ家ユニット「Ark Performance」によるSF海洋戦記マンガ「蒼き鋼のアルペジオ」です。少年画報社「ヤングキングアワーズ」編集部の野々口嘉孝さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 西暦2038年。世界の海洋に突然、謎の戦艦群(後に『霧の艦隊』と呼ばれる、姿形は第二次世界大戦時の戦艦)が出現し、人類の船を世界の海洋から駆逐する。……それから17年後。なぜか霧の艦隊の潜水艦・イ401に乗り込んだ主人公・千早群像(ちはや・ぐんぞう)とその仲間たちは、人類の未来のため、そして自分たちの明日を切りひらくために、霧の艦隊に戦いを挑むのであった……! 圧倒的な画力で描かれる戦艦との戦い、そして霧の艦隊の戦艦が持つメンタルモデル(戦艦のコアが人体化)と人類との戦いや共闘、愛情劇などがこの作品全体を通して描かれる魅力になります。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 実は15年ほど前に、他社の月刊マンガ誌でArk Performanceのお二人とは一緒になったのですが、そのときは雑誌の責任者と作家さんという関係でした。今から5年前に私が少年画報社に転職し、初めてマンガ担当者としてごあいさつに行き、1年ぐらいずっと打ち合わせを続けて出てきたのが「アルペジオ」でした。アワーズ編集長から「1年間も飯を食ってばかりで……コラッ!」と怒られてましたから、この「アルペジオ」の企画を持って行った時には、「どうだ! これがうまい飯の力だ!」と心の中で叫びながら出していた……と、思います(笑い)。で、編集長も大いに企画を気に入ってくれて、即連載が決まりました。「海洋もの」になったキッカケは話せば長くなるのですが、端的にいうと、Ark Performanceのお二人も私も、海が好きだったからでしょうか。

 −−美少女と艦船の描き分けは大変だと思うのですが、気を配っていることは?

 とにかくメンタルモデルは可愛く魅力的に、そして艦船はリアルにカッコよく、とArk Performance先生といつも話しています。

 −−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。

 東日本大震災のときなのですが、2011年3月末にコミックスの第3巻の発売を控えていました。3.11以降は電車も時間通りに動かないし、物流も乱れているうえに印刷業界も大打撃を受けていて、本が発売日に出せないといわれていたのですが、ウチの販売部や印刷所さん、取り次ぎさんのおかげで何とか予定通りの3月末に発売することができたのが強く印象に残っています。……今でも3巻表紙のハルナを見ると、その時のことを思い出します。震災後で心配しましたが、1、2巻よりも売れ行きが好調だったので、読者の皆さんのパワーに驚きましたね……。あとテレビアニメのお話を3月の頭にフライングドッグの南(健)プロデューサーからいただいて、打ち合わせを11年3月14日にやりましょうと話していました。ですが直前に震災があり、3月31日に改めて打ち合わせをしたのを、この文章を書いていて思い出しました。

−−アニメ化以降の反応はいかがでしょうか?

 アニメ化以降、書店の皆様のプッシュもあり好調です! 表立っていってはいませんが、発行部数は累計100万部を超えて、まだ順調に伸びています。テレビアニメのヒットは、岸(誠二)監督や脚本家の皆さん、そしてサンジゲンのスタッフの皆様の力があってこそだと思いますが、マンガも、その勢いにうまく乗って部数を伸ばすことができました。あと、同時期にオンラインゲーム「艦これ」が大人気になったのも、とてもタイミングがよかったと思います。アニメのアルペジオとのプチコラボも、大いに盛り上がりましたし。

 −−今後の展開は?

 現在、群像たちがコンゴウの第一巡航艦隊と戦闘を繰り広げています。群像とヒュウガのアッと驚く作戦や横須賀に上陸し、行動しているタカオやイ402たちの行動にも注目です。シリーズ冒頭から語られている「第4施設事件」のことなど、近々、謎も明かされていくことになります。

 −−読者へ一言お願いします。

 テレビアニメが昨年末の第12話で終了しましたが、アニメのブルーレイディスク(BD)&DVDは6月まで発売されますし、6月末には舞浜(千葉県浦安市)でのイベントも予定されています。そしてマンガ「蒼き鋼のアルペジオ」は、今よりもさらにスケールの大きい世界規模での「蒼き世界」を作っていく予定です! マンガとアニメの「アルペジオ」に、これからも注目してください!!

 少年画報社 ヤングキングアワーズ編集部 野々口嘉孝

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