話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、勝ち気な姫と少年ながら世界を統治した年下の王とのラブコメディーを描いた椎名橙(しいな・だい)さんの「それでも世界は美しい」です。白泉社「花とゆめ」編集部に作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
−−この作品の魅力は?
すべての始まりは、世界を統べる「晴れの大国」の太陽王・リヴィウス一世(以下「リビ」)の気まぐれ。天候を操り、雨を呼ぶ力を持つ「雨の公国」の公女・ニケは姉妹間のジャンケンに負け、雨降らしを所望するリヴィウスのもとへ嫁ぐことになってしまった! ところが、即位3年で世界を征服したというリヴィウスは、なんとまだ子どもで……。そんな奇妙な出会いを経て、反発しあう2人が、いつしかお互いにかけがえのない存在になっていくファンタジーロマンスです。見どころは、なんといってもニケの能力「雨降らし」のシーン。作中のさまざまな局面で、この雨降らしが使われますが、そのどれもが心にじんわりしみて、涙目になりますよ!
−−作品が生まれたきっかけは?
本作は、数回の読み切りを経て、本格連載へと移行しました。一番初めの読みきり(第1話)は、当時“2週間に1作、ネームを仕上げる”(!)ことを目標にしていた椎名先生が、ご自身の「政略結婚ものを描いてみたい」という思いや、当時の担当者に出されていた課題「キャラの対比を作ること」などを踏まえ、その時描きたいものを詰め込んでできたもの、とうかがっています。ちなみに、「キャラの対比」=ニケ&リヴィウスの年の差、雨と晴れ、などキャラクター間のギャップのことです。
男性であるリヴィウスの方を年下にしたのは、椎名先生に「花ゆめの年の差といえばこっち!」なイメージがあったからだそう。こんな子どもが世界を征服した王なんて!という意外性も意識したとのことです。また、そもそもが読み切り前提のスタートなので、話数を重ねるごとに世界観を広げていく作業も大変だったようです。
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった…、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
前担当者時代の話ですが、砂の皇国の皇太子・イラーダのキャラクター作りは、かなり難航したと聞いています。「リビの立場が危うくなるくらいのイイ男を」という担当の注文に、椎名先生は必死にキャラ改訂を重ねて、現在のイラーダになったとのこと。初期のキャラクター案では、なかなかに短気で極端な性格の太子様だったようですよ。
−−今後の展開は?
雨の公国、晴れの大国、砂の皇国、湖の王国……と、さまざまな国が登場しました。このあともいくつか国が控えていますので、次はどんな国が来るのか予想してみてください!
−−読者へ一言お願いします。
花とゆめの創刊40周年にあたる今年、「それでも世界は美しい」がテレビアニメになります! 少女マンガ原作ではありますが、性別問わず楽しんでいただけるものになるはずです。特に、ニケが雨を降らすシーンには力を入れていただいてますので、映像になると、また違った迫力や感動が得られると思います。4月から放送予定ですので、ぜひ楽しみにお待ちください。そして、花とゆめ本誌の連載も、併せてぜひチェックしてください!
白泉社 「花とゆめ」編集部
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