注目映画紹介:「スノーピアサー」 鬼才・ポン・ジュノが欧米キャストで撮った近未来SF

(C)2013 SNOWPIERCER LTD.CO.ALL RIGHTS RESERVED.
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 「グエムル−漢江の怪物−」(2006年)や「母なる証明」(09年)などで知られる韓国の鬼才ポン・ジュノ監督が、初めて欧米のキャストを起用して全編英語で撮ったSFエンターテインメント「スノーピアサー」が7日、公開された。2031年の近未来の地球を舞台に、氷河期に生き残った人々が乗った列車「スノーピアサー」での、男たちの反乱を描く。主演は「アベンジャーズ」(12年)のヒーロー“キャプテン・アメリカ”を演じたクリス・エバンスさん。

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 原作はフランスのグラフィックノベル「Le Transperceneige」。2014年、地球温暖化に終止符を打つため、人工冷却物質が大気圏上層部に散布された。その後、地球は新たな氷河期に突入した。人間は全長43万8000キロを1年で一周する“走る箱舟”「スノーピアサー」に乗り込んだ人々だけが生き残った。2031年、唯一の生存場所となった列車はウィルフォード産業によって作られたもので、最後尾車両には貧困層が詰め込まれ、前方車両の富裕層の支配を受けていた。最後尾のカーティス(エバンスさん)はエドガー(ジェイミー・ベルさん)らとともに、革命の時期をうかがっていた。カーティスは、最後尾の情報通で精神的リーダーのギリアム(ジョン・ハートさん)を頼って情報を集めながら準備を進め、やがて反乱のときを迎える……という展開。

 世界の縮図のような走る列車。階層社会を変えるために立ち上がる男カーティスたちが、どう戦い、どう難関を切り抜けるのか。エバンスさんはカリスマ性のある主人公をイメージぴったりに演じている。車両を進むごとにどんな世界が待ち受けているのか、列車の疾走も相まってハラハラする。細長くて狭い列車内の空間は、極限状態に陥った人々の息苦しさを伝えるのに格好の場所となった。

 前へ前へと進むカーティスと仲間たち。乱闘につぐ乱闘がライブ感たっぷりに撮られている。残酷な戦いと、怖いほど美しい氷河に覆われた地球。ビジュアル面のインパクトも大だ。行きつく先での静かで不気味で孤独で悲しいシーンの見応え十分。ポン監督の作品は3作目となるソン・ガンホさんをはじめ、ティルダ・スウィントンさん、オクタビア・スペンサーさん、エド・ハリスさんら名優たちの共演も豪華だ。7日からTOHOシネマズ 六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開中。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。

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