これまでテレビアニメ「TIGER&BUNNY」や「夜桜四重奏~ハナノウタ~」などのタイアップ曲を手がけて人気のバンド「UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)」が、8日から公開中の劇場版アニメ「劇場版TIGER&BUNNY−The Rising−」の主題歌「harmonized finale」を5日にシングルとしてリリース。楽曲やライブについて、7月に迎える結成10周年について3人に話を聞いた。
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−−「TIGER&BUNNY」(以下、タイバニ)のタイアップは、今回の「harmonized finale」で3回目となるわけですが……。
田淵智也さん:今回の映画でタイバニが一区切りと聞いていたので、その最後を盛大に祝えるものにしたいと思いました。一人のタイバニのファンとして「続く……」みたいな中途半端になってほしくなくて、ちゃんと終わったんだなと感じられるものがいいなと思って。フィナーレという言葉ならグッと締まるんじゃないかと。
鈴木貴雄さん:僕は曲を聴いたとき、懐かしい気持ちや恋しい気持ち、寂しい気持ちになったときの気分にすごく合う曲だなと思ったんです。僕の中でそういう気分になる、出来事や人とかを思いながら(ドラムを)たたきました。でも、ただ懐かしさや寂しさを感じるだけじゃなく、前に向かって進む気持ちも太鼓に込めています。
斎藤宏介さん:歌詞が、分かりやすくピュアというか……。読んだら分かるよねっていう、聴き手の意識に届くところまで洗練させて書いているという印象でした。なので、曲の世界にどっぷり浸っていられるなって。余計な色づけをしなくていいというか…スッと歌ったらスッと届くみたいな、余計なフィルターがない感じがありました。
−−歌詞からは「タイバニが完結する寂しさがありつつ、でもタイバニからたくさん勇気をもらったから、もう僕は泣かないよ」というような気持ちも感じました。
田淵さん:ああ、そういう聴き方をしてもらえるのは、すごくいいですね。実は裏テーマとして「いつか絶対に終わる」という概念があって。いろんなバンドの人が、「いつまでもお前らと一緒だぜ」って言うけど、いつか誰かが死ぬし、そんなのムリだしっていう、現実を誰も言わないのは少しずるい気がしたんです。音楽に夢を見る瞬間と、ちゃんと日々を生きなきゃいけない瞬間があって。ライブの時間は有限ですぐ終わっちゃっても、そのあと家に帰ったらお前はどう生きるんだ?っていう、そこのところを、ちゃんと聴く人に考えてほしいという願いを込めています。
音楽を聴き終わったあと、ライブが終わったあと、映画が終わったあと、俺どうしようかな?ってなっている人の活力になったり、何かのきっかけを作ってあげられる曲になればいいなって。いつまでも終わることに悲しんでいちゃいけねえんだなっていう……歌詞の解釈を強要するつもりはないけど、聴き終わったとき、新しい一歩になるきっかけを与えてあげられていたら、バンド冥利(みょうり)に尽きますね。
−−2月9日から全国ツアーがスタートしました。意気込みは?
鈴木さん:めちゃめちゃ楽しみであると同時に、めちゃめちゃプレッシャーもあります。みんなの期待をすごく感じているので、それはプレッシャーでもあるんだけど、それがあるから普段以上に努力して準備しようって思うし。でも、同時に励みにもなっていますね。
斎藤さん:一番は、終わったあとに自分がめちゃくちゃ楽しかったと思えるライブにすること。それがすなわちお客さんが求めているライブだと思っている。いい演奏していい歌を歌うことがとにかく大事で、今はそれのみを考えています。それ以外のことを求められても、応えられる自信はないんで。でも、いい歌が聴きたいと思ってくれる人には、100%以上で応えられる自信があります!
田淵さん:もしかすると俺らのライブって、誰かにとっては正解じゃないかもしれないけど、自分たちの中ではこれが正解だし、これが一番の音楽の楽しみ方だと思ってやってます。それに対して反応している人がどれだけいるのか、次も行ってみたいと思ってくれる人がどれくらいいるか、人生に疲れたときまた来てみようかなって言ってくれる人がどれだけいるか? それを確認するためにやっているようなところもあるかもしれないです。
−−いわゆるアニソンのライブによくあるような、サイリウムを振って一緒に歌いたいという人は、ユニゾンのライブは少し戸惑うかもしれませんね。
田淵さん:がっかりするかもしれないけど、仕方がないですよね(笑い)。でも、どう考えても絶対に一番楽しい音楽のやり方、一番楽しいライブの楽しみ方を僕らは提示しているという自信がある! ロックバンドのカッコいい音を、でかい音で聴いたときに、わあー、すごい! 何がすごいか分からないけどすごい!と思ってくれる人がいればいいかなって。
−−今年7月で結成10周年になるわけですが、このあとの10年はどういうふうになりそうですか?
斎藤さん:たぶん最初の10年とこれからの10年は、まったく違うものになる気がします。この10年は構築の10年だった。UNISON SQUARE GARDENってどういうバンドなのか? 3人で作って、それをスタッフに伝え、聴く人に伝えてということをやって来て、やっと軌道に乗ってきた感覚があって。これからの10年は、それを自分たちにもそうだし、聴いてくれる人に対しても、飽きさせないようないろいろな仕掛けを施していく10年になるんじゃないかと思いますね。
−−ローリングストーンズは結成50周年ですが、そのくらいは続ける気持ちで?
田淵さん:飽きなければ、そのくらいやってるかもしれないですよね。でも、飽きたらさっさとやめちゃうかも(笑い)。でもそうならないように、自分たちが飽きずに続けるための工夫は、常にやっていますよ。
鈴木さん:バンドは奥が深いですからね。一人の人間の人生で、楽しみ尽くせるものではないから。
田淵さん:(3人とも現在28歳だが)俺なんかは、早く「おっさんじゃん!」って言われたいですよ。45歳くらいになってライブやってて、見に来た若い子が「なんだ、おっさんじゃん!」って(笑い)。別におっさんになりたいわけじゃないけど、バンドを続けた先に、そうなっていたいみたいな気持ちが、なくもないです。
<プロフィル>
斎藤宏介さん(ボーカル&ギター)、田淵智也さん(ベース&コーラス)、鈴木貴雄さん(ドラム&コーラス)で2004年に結成。インディーズをへて08年にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。これまでに9枚のシングル、4枚のアルバムなどをリリースした。劇場版アニメ「劇場版 TIGER & BUNNY −The Beginning−」主題歌「リニアブルーを聴きながら」、アニメ「夜桜四重奏~ハナノウタ~」オープニング曲「桜のあと(all quartets lead to the?)」などがヒット。田淵さんはソングライターとして、LiSAさん、豊崎愛生さん、戸松遥さん、梶裕貴さんなどに楽曲提供している。9日の高知x−pt.を皮切りに、3月21、22日のZepp Tokyoなどを含む11公演の全国ツアー「UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014“桜のまえ”」を開催。
(インタビュー・文・撮影:榑林史章)
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