注目映画紹介:「BUDDHA2 手塚治虫のブッダ 終わりなき旅」 第2弾はシッダールタの旅路描く

(C)2014「手塚治虫のブッダ2」製作委員会
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(C)2014「手塚治虫のブッダ2」製作委員会

 手塚治虫の名作マンガ「ブッダ」を劇場版アニメ化する3部作プロジェクトの第2弾「BUDDHA2 手塚治虫のブッダ−終わりなき旅−」(小村敏明監督)が8日に公開された。今作は、1972年から約10年にわたって連載された長編「ブッダ」が原作で、のちにブッダとなるシャカ国の王子シッダールタの生涯を描く。劇場版は3部作で構成され、第1弾「手塚治虫のブッダ−赤い砂漠よ! 美しく−」が2011年5月に公開された。第2弾では、王子の身分を捨てたシッダールタが旅先で出会う人々との物語が展開する。

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 声優はシッダールタ役を吉岡秀隆さん、シッダールタの母で天上人のマーヤー天役を吉永小百合さん、シッダールタの父でシャカ国の王・スッドーダナ王役を能楽師の観世清和さんが務めるほか、松山ケンイチさん、真木よう子さん、水樹奈々さんら豪華な顔ぶれがそろった。シャカ国の王子という身分を捨てて出家し修行の旅に出たシッダールタは、未来を予知できる少年・アッサジ(声・沢城みゆきさん)や自らの目をたいまつで焼いた男・デーパ(声・藤原啓治さん)、幼いころに城の外で出会ったタッタ(声・松山さん)、かつてシッダールタと思いを通わせながらも身分が違うため引き裂かれたミゲーラ(声・水樹さん)らと出会う。旅の途上、飢えたオオカミたちに自らの命を差し出すアッサジの姿を目の当たりにしたシッダールタは、過酷な苦行に身を委ねる。一方、大国のコーサラ国では、自らの出自に苦悩するルリ王子(声・真木さん)が、シッダールタやシャカ族に強いうらみを抱いていた。そしてコーサラ国にシャカ国が滅ぼされたと知ったシッダールタは……という展開。

 ストーリーもさることながら、趣向を凝らしたドラマチックな演出が目を引く。キャラクターの心の内など感情を繊細な演出と大胆な描写で描き出している点や、多彩な光を活用した演出が情緒を生み出し、重みのある数々のせりふとともに物語をあざやかに彩る。幽玄な雰囲気を醸し出すビジュアルもそれぞれの人物像を印象深くしている。ある意味、最も重要といえるアッサジの言動や行動は、どことなく不思議で清らかな空気感に満ち、シッダールタだけでなく観客にも何事かを訴えかけてくる。ルリ王子にまつわるエピソードも深い悲しみと苦しみにあふれ、涙なしでは見られないほど。深遠なテーマをはらんだ重厚なストーリーは静かな感動を与えてくれる。主題歌「Pray」を歌うのは浜崎あゆみさんで、原作を全巻と台本を読み込み作詞したという歌詞が印象的だ。丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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