ビートルズ:トリビュートライブ11日放送 “マニア”森川欣信が見どころ語る

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 英ロックバンド「ビートルズ」のポール・マッカートニーさんやリンゴ・スターさんに加え、スティービー・ワンダーさんやファレル・ウィリアムスさん、「マルーン5」などが参加した「ビートルズ」のトリビュートライブの模様が「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ ~グラミー・スペシャル~」として11日、WOWOWで放送される。

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 ビートルズは1962年に英国でデビューし、64年に米国のバラエティー番組「エド・サリバン・ショー」で、全米上陸を果たした。そのビートルズ全米上陸50周年を記念し、今年のグラミー賞授賞式の翌日、米ロサンゼルスのコンベンションセンターで行われたトリビュートライブを会場で実際に目撃した、日本屈指の“ビートルズマニア”で、山崎まさよしさんや元ちとせさんらが所属する音楽事務所「オフィスオーガスタ」の設立者・森川欣信さんが、ライブの印象や番組の見どころを語った。

 −−このライブが開催されることを知ってどう思われましたか?

 僕がビートルズに出会ったのは64年の1月でした。僕はそのとき11歳で、ラジオから流れて来る「プリーズ・プリーズ・ミー」を聴いたのです。そう、まさに“It Was 50 Years Ago Today(50年前の今日)”です。50年という歳月、それは当のビートルズだけではなくファンにとっても感慨深い「50年」の歴史です。昨年末にグラミーで特別功労賞生涯業績賞がビートルズに贈られると発表になっていたので、ポールとリンゴは出席するのかなってぼんやり考えていました。今回のグラミー賞には弊社の元ちとせが参加したレゲエアルバムもノミネートされていましたから僕も招待を受けていました。残念ながら受賞はなりませんでしたが。開催の日が近づいたある日、グラミー賞にポールとリンゴ出席のニュースが流れ、同じ場所に参加できるという喜びに沸き立つ僕に次なるニュースが飛び込んで来ました。グラミー賞の翌日、「ビートルズ・トリビュートライブ」が行われる! え? トリビュートってことは、本人たちは出ないのかな? あまりに突然過ぎてなんだか実感がありませんでした。

 −−印象に残っているパフォーマンス、パフォーマーは何ですか?

 エド・シーランの「イン・マイ・ライフ」です。これは悔しくて印象に残っているんです。エド・シーランはもちろん素晴らしいんですが、僕は弊社の山崎まさよしの弾き語る「イン・マイ・ライフ」だって絶対負けてはいないと思ったからです。山崎独自の解釈によるこの曲のアレンジ、ギターテクニックは改めて世界レベルだと認識しました。こういう場所に日本のアーティストも参加させてくれたっていいじゃないかって妙に悔しい思いをしました。ユーリズミックスの「フール・オン・ザ・ヒル」、この先二度と聴けないのかと思うとなんとも言えない、ため息の出るような感動を覚えました。あと、ゲリー・クラーク・Jr.のギターテクニック、音が素晴らしかった。あの、青いセミアコ(セミアコースティックギター)はエピフォン・カジノなのかな? 初めて見るカラーです。じっくり放送で確かめたいと思います。

 −−最後のパート、ポールのパフォーマンスから、リンゴとジョイントして大団円までをどうご覧になりましたか?

 「サージェント・ペパーズ」~「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」の流れで、ビリー・シアーズ(ビートルズによって作り出された架空の人物)と紹介されビリー役のリンゴが登場、ビートルズのオリジナル通りにこのメドレーをポールとリンゴが共演したのには感動。そしてやはりリンゴがドラムをたたき、ポールがピアノで歌う「ヘイ・ジュード」でのツーショットは「ハーフ・オブ・ザ・ビートルズ」として、もう見ているだけで身震いがしました。たぶん、リンゴが「ヘイ・ジュード」のドラムプレーをするのって68年のビートルズ以来じゃないかな? だから、エイブ・ラボリエル・ジュニアのドラム抜きで聴きたかったな。この曲はアーティストも観客もその場にいる全員が参加できる曲です。ふと、ジョンやジョージの魂もこの場所に来ているような気がしました。

 −−客席には著名人の顔も多く見られましたが、パフォーマンス、観客、演出など全体を通してこのライブの印象はいかがでしたか。

 ステージ転換の間にずっとビートルズの映像が流れているんですが、これまで幾度となく見ているはずの映像なのに観客の誰もが見入り、耳を傾けていました。それはビートルズが時代を超え、年代や国境を越え、いかに人を引きつけてやまない存在なのかという証しでもあります。アーティストたちはこの場所でビートルズの曲をパフォーマンスすることに至福の喜びを感じているように見えました。誰もが声を掛けられればこのコンサートに出演を希望したはずです。コンサートを演出している方々、出演者、そして観客すべての人たちがいかにビートルズを敬い、愛しているかがヒシヒシと伝わって来ました。

 −−読者にメッセージをお願いします。

 僕は最初、このトリビュートコンサートが発表されたときは、見ないで帰るつもりでした。なぜなら、グラミー賞でのポールとリンゴの共演はあり得るけど、トリビュートなのだから当の本人たちがこのコンサートに出演するのって実際はないのではと半信半疑だったからです。ポールもリンゴもかつてその世界一のバンドのメンバーでした。しかし、ビートルズはジョン、ジョージを欠いてはあり得ない。言い換えればこの4人がビートルズというユニットなんです。もうそのユニットは存在しません。でも、誰しもの心にビートルズは生き続けています。きっとポールにもリンゴにもビートルズは心の中で生き続けているのでしょう。ポールはポールとして、リンゴはリンゴとしてこのジョン、ポール、ジョージ&リンゴのいた「ザ・ビートルズ」をトリビュートしているのだと僕はこのコンサートを見て思いました。それが確認できて大変うれしく思いました。

 ネタバレになりますが、開演前ずっとビートルズの映像が流れていました。そして、記念すべき64年2月9日の「エド・サリバン・ショー」初出演時の1曲目「オール・マイ・ラビング」、その映像が流れていると、突然ビートルズの演奏に生音がシンクロ、マルーン5の「オール・マイ~」が始まりました。もう、一気に気持ちが沸点に達しました。この突然のオープニング演出に油断していた観客ははじけるように大熱狂です。このトリビュートライブにふさわしいオープニングに我を忘れました。じっとしてなんていられませんから。ところで、このエド・サリバン・ショーのビートルズの演奏って、実はレコードバージョンよりも半音下げのチューニングなんです。ということはマルーン5も半音下げで演奏したのかな?って、あとで思いました。だからずっとそれが気になっています。これも放送で確かめたいと思っています。

 *……番組「ザ・ビートルズ・トリビュートライブ ~グラミー・スペシャル~」はWOWOWライブで11日午後9時に放送される。またビートルズの大ファンであるシンガー・ソングライターのセス・スワースキーさんが、50人以上の関係者へのインタビューを通して、ビートルズをひもとくドキュメンタリー「ビートルズと私」が11日午後7時半、ポール・マッカートニーさんとリンゴ・スターさんが共演した「第56回グラミー賞授賞式」が3月16日午後3時にWOWOWライブで放送される。

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