注目映画紹介:「相棒−劇場版3−」孤島を舞台に史上最大のスケールと時事ネタが盛り込まれた展開

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 人気ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)の劇場版第3弾「相棒−劇場版3−巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」(和泉聖治監督)が4月26日に公開された。劇場版最新作では、絶海の孤島を舞台に杉下右京(水谷豊さん)と相棒の甲斐享(成宮寛貴さん)が難事件解決に挑む。先代の相棒・神戸尊(及川光博さん)も登場し、初めて新旧相棒が共演することでも話題だ。連続ドラマのレギュラー陣に加え、伊原剛志さん、釈由美子さん、宅麻伸さんら豪華な脇役がそろっているのも話題だ。

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 「相棒」シリーズは水谷さん演じる警視庁の窓際部署「特命係」のキャリア警部・杉下右京が、その天才的頭脳で推理し相棒とともに難事件を解決する刑事ドラマ。2000年6月に単発ドラマとして初登場し、02年10月から連続ドラマ化され、これまで08年と10年に2作の劇場版とスピンオフ作品が公開されている。劇場版最新作の今作は 東京から約300キロ離れた鳳凰島で、男性が馬に蹴られて死亡したという事故が発生。記事を見た警視庁特命係の右京(水谷さん)と享(成宮さん)の元に、元警視庁特命係で現在は警察庁長官官房付の尊(及川さん)が訪れ、元自衛隊員たちが共同生活を送る島にまつわる妙なうわさの実態を調査するという警察庁次長の甲斐峯秋(石坂浩二さん)の密命を伝える。島にやって来た特命係の2人は調査を進めるうちに、右京が男性の死亡理由が事故ではなく殺人だと確信。島に捜査1課の伊丹憲一(川原和久さん)らや鑑識課の米沢守(六角精児さん)が集結するが何者かに襲われ……という展開。

 作品数を重ねるたびにスケールアップしていく劇場版「相棒」は、最新作では防衛省や国の権力者の暗躍にはじまりジャングルや岩礁で捜査を行うなど、予想のはるか上をいくスケール感で見る者を圧倒する。3代目相棒の享が劇場版初登場なのに加えて、2代目相棒の尊も登場し、右京も交えて新旧の相棒がそろって会話をするシーンは、享と尊のどこかけん制し合うような空気感でシリーズファンならずとも感慨深いものがある。孤島が舞台ということもあり、いつもの雰囲気とはまた違う印象を受けるが、捜査1課の面々や鑑識の米沢といったレギュラー陣がしっかりと脇を固める中、右京が謎解きしていくという「相棒」の様式美的な手順に抜かりはない。事件の謎にあたる部分が思ったよりシンプルで古典的でもあり、“史上最高密度の謎”という触れ込みはミステリー的には物足りない。ただそれを補って余りある右京の“はじけっぷり”や「相棒」らしい時事ネタを盛り込んだストーリー展開など見応えは十分だ。丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もOKと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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