WOWOWは毎週日曜午後11時に既存のジャンル以外のエンターテインメントを模索する実験枠「大人番組リーグ」の第2シーズンをスタートさせた。それぞれ異なるタイプの番組全13本が、将来のレギュラー番組化を懸けてしのぎを削る。各番組は放送後にウェブ上で集計される視聴者からの投票結果によって4番組がレギュラー化の権利を獲得できる。リーグのチェアマンは俳優の八嶋智人さん。そして2013年のミスキャンパスたちで構成された「大人キャンパスガールズ」がアシスタントを務め、毎回豪華ゲストも出演する。5月11日午後11時に放送される第13弾「脇役目線～主客逆転！教訓体感アニメ～」を担当したWOWOW制作局制作部のプロデューサー内野敦史さんと大原康明さんに、その魅力を聞いた。

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　−−番組の概要と魅力は？

　昔話、おとぎ話、神話などは老若男女、世界中の人々に愛され続けています。そこには“愛され続けている”理由が存在します。ストーリーがシンプルで、ヒトが生きていく上での教訓的メッセージが込められていますよね？　我々はそこに着眼しました。主役と脇役を逆転させることで“何か違った教訓が見えてくるのでは？”と。企画段階、さまざまな物語で実験を繰り返した結果、「桃太郎」「裸の王様」「鶴の恩返し」に絞りました。“意外な脇役”に焦点が当たり、アングルを変わった独自解釈のアニメを通して、視聴者の皆さんは“もう一つの物語”から新たな教訓を知ることになるのです！

　−−番組にするときに一番に心がけたことは？

　内野さん：ハリウッド映画のように、大胆にスピンオフするのでなく、あくまで原作との微妙なズレというか“揺らぎ”のような感覚をたのしんでいただけるよう、独自の空気感を作ることを心がけました。

　大原さん：それだけではありません。番組の実現にあたり、スタッフ体制にはこだわりまくりました。アニメーターは新進気鋭の作家を中心に構成し、音楽はオリジナルを制作、アニメーションを引き立てる実写紹介パートには、ストーリーテラー役の片桐はいりさんにはじまり、豪華キャストが集結。気が付いたら大変なことになってました！

　 −−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは？

　内野さん：「脇役目線」独自の雰囲気をかもし出すため、キャラクター造形の際にはアニメーターさんにディテールまでこだわったアイデアをいただき、何度も議論を交わしました。その結果、主役に“昇格した”脇役キャラクターは大変“キャラの立った”魅力的なものに仕上がりましたよ。

　大原さん：でも、本来、主役だった方々からは、不平の声が上がっていましたよね？

　桃太郎：私のキャラクターは本来の品行方正なヒーロー像からどんどんかけ離れていきました。猿の目線から見ると、私はこんなふうに映っていたのか、と衝撃を受け、収録を終えた夜は、一人枕を濡らしました。

　王様：原作だとワシは、見えっ張りな設定だが、脇役目線では、傲慢（ごうまん）で醜い上に、ロリータ衣装まで着させられる三重苦を味わった。誰も救われん。本当に。

　与平：あの描き方では私はまるで犯罪者ではないか！

　大原さん：い、いや、決してそんなつもりでは……。

　鶴：もうあんな恋、コリゴリなはずなのに、私ったらまた……。クアアアン。

　内野さん、大原さん：……（絶句）。

　−−番組の見どころを教えてください。

　内野さん：アニメのアフレコ初挑戦となる豪華俳優陣の”声”にご注目ください。

　猿（声・マキタスポーツさん）：ワタクシから放たれる不条理極まりない悲壮感をマキタスポーツさんは、存分に表現してくださいました。ラストシーンの哀愁には、思わず感情がたかぶりました。

　仕立て屋（声・満島真之介さん）：我々、兄弟の2役を演じた満島さん。王様との心理戦は、この上ない緊張感に仕上がっていますよ。

　鶴（声・安藤サクラさん）：私が羽根を抜くシーンには、誰もが言葉を失うハズです。安藤さんは、1週間かけて鶴の鳴き声を練習されたそうですよ。

　大原さん：松尾貴史さんが演じる桃太郎のおばあさんが放つ衝撃のせりふ、梶裕貴さんが演じる犬の恐ろしいほどのリアリティー、浪川大輔さんが演じる“鶴の相手役”与平の「ささやきボイス」にも刮目（かつもく）を。

　−−視聴者へ一言お願いします。

　内野さん：この企画は原案を若手の放送作家さんからいただいた2年前から醸造し、今回やっと日の目を見た力作です。大人番組リーグは視聴者の方々による投票によってレギュラー化か否かが決定します。皆さん清きワンクリックをよろしくお願い致します！

　大原さん：さらに、ウェブならではのオリジナルコンテンツも配信しています。お笑いコンビ「アメリカザリガニ」の平井善之さんによる出演者へのインタビューや対談動画も随時、お届けしてまいりますので、お見逃しなく。

　WOWOW　制作局制作部　プロデューサー　内野敦史／大原康明