SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
「HUNTER×HUNTER」のゴン役などで人気上昇中の声優・潘めぐみさんと、「機動戦士ガンダム」のララァ役などの声優としても知られる母親の潘恵子さんが、さまざまな思いや出来事を交換日記形式でつづります。今回は、めぐみさんが大きな変貌をとげるゴンを演じた心境を語ります。
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みなさん、おはようございます! こんにちは、こんばんは、はじめまして! 潘めぐみです!
4月末から5月の頭は、世間ではゴールデンウイークでしたが、皆さんはいかがお過ごしでしたか?
私のゴールデンウイークはというと、相も変わらず、ただひたすらに、好きなことをしていました。そんな中で普段と変わったことといえば、そうですね……。片付けをしました。どこか平凡な日常感ただよう話題ですが、私は片付けることによって、得られたもの、取り戻せたものがあるのです。
と、決心をしつつも、思い入れが生まれてしまうと、なかなかお別れできないものも……。それは台本です。大切な仕事道具。声の仕事を始めて2年以上がたち、携わらせていただいた作品の台本は、棚いっぱい、部屋いっぱい。原作があるものは原作本、アニメのキャラクターや作品の世界観の資料など、その時の思い出と一緒に宝物がいっぱい。
一つ一つ、思い出にひたりはじめてしまっては、なかなか先には進めないのが片付け。わかっていながらも、こればかりは、と思い、現在は時間をかけて、しまう場所を空けようと試みている最中だったりします。
そしてこの時間は、私にとって原点回帰するきっかけとなりました。
私の原点。それはやはり「HUNTER×HUNTER」。この仕事を、夢に、現実にしてくれた作品。
連載当初からの週刊少年ジャンプの切り抜きにはじまり、原作のコミックス、小説、グッズなど、そして、キャラクターの設定画を挟んだアニメの第1話から今日までの台本。それらを手にとると、その1冊に、その1ページに、その1シーン、1カット、1行、1文字……一つ一つにつながりを感じるのです。
アニメの1秒をつむぎ出すにしても、その1秒には、24枚の絵が集約されていて、その中でも原画や動画という分野に分かれているわけで……。それ以前や以降の段階でも、たくさんの過程がある中で、たくさんの方々が携わっている。つながっている。
そう思うようになったのは、「HUNTER×HUNTER」のアニメを制作しているマッドハウスさんで取材をした際に、見学させていただいたことがきっかけでした。アニメができるまでの手順を教えていただきながら、実際に見学をさせていただきました。
普段のアフレコ現場では、なかなかお会いすることのできない作り手のみなさんにもお会いすることができ、直接お話を聞かせていただけたことで、より感謝を込めて、そのご恩を返せるように、声を吹き込もうという思いが湧いてきたのです。
アニメ「HUNTER×HUNTER」キメラアント編、収録も放送も共にクライマックスを迎えようとしています。常にクライマックス続きの展開に、改めてアニメの力のすごさを実感するのです。
「だから、ありったけを」詰め込んできました。そう、そしていよいよ彼が、ゴンが大きな変貌をとげるとき。私は、約2年半前の「HUNTER×HUNTER」制作発表の場で、「たとえ、そのときが来ても、私はゴンを演じていたい」と、宣言しました。だけど、いつか「そのとき」が来るとわかっていたはずなのに、わかっていなかったのです。
それは、「HUNTER×HUNTER」という作品に対する思いと似ている気がします。始まりがあれば終わりがあると、このコラムでつづったことがありましたが、「HUNTER×HUNTER」に対しては、終わりというものが想像できなくて、心のどこかで終わりがないと、終わりがきてほしくないと思っていたのです。ゴンに対する思いと「HUNTER×HUNTER」に対する思いは一緒なのだと気づきました。
しかし、この思いとは裏腹に、現実はそうもいかず。ゴンとして、いったんの区切り、決着をつけるときが来てしまったのです。彼の命を圧縮することで、成し得た力とその姿。うらみか、悲しみか、後悔か……、形容するふさわしい言葉が見つからないほどに、理解するのも、表現するのも、安易ではありませんでした。
ところが、いざ収録を迎えてみると、悩みや不安、恐れや迷い、ネガティブなものは、一切ありませんでした。緊張していたのは、本当に演じる寸前までのことで、実のところ、演じていたときのことは、あまり覚えていないんです。覚えているのは、収録後の心地よさ。そして、そこに至るまでに……。
たえてた、終わるまで。
泣いてた、気づいたら。支えてくださった先輩方が、見守っていてくださった皆さんが。
そして、そばにいてくれたキルアも、隣にいてくれた伊瀬茉莉也さんも。
目の前のゴンも、私も。
怒り狂った、116話。受け入れろ、130話。決着を付ける、131話。よりたくさんの方に見届けてほしいです。
はあ、ここまで書くまでに何日か日をまたいでいるわけですが、そのかたわらで、実はまた、部屋には台本や資料、いろんなものが部屋に積まれていっております。片付けねば……。
“潘さん”のおっしゃっていた「ヒトとモノとの出会いを一つ一つ大切に、つなげていこうね。メグさん!!」という言葉をかみ締めながら、そして、日々お母さんの言う「メグさん、これ片付けて!!」という言葉にも身を引き締めつつ、片付けに行って来ます。 ではでは!
潘めぐみ(はん・めぐみ)=1989年、東京都生まれ。2008年に映画「櫻の園」の一般公募オーディションに合格し女優デビュー。ドラマ「オトメン−乙男−」のほか舞台などにも出演。11年に、100人を超えるオーディションをへて、アニメ「HUNTER×HUNTER」の主人公・ゴン役に抜てきされた。アニメ「ハピネスチャージプリキュア!」の白雪ひめ役、ゲーム「The Last of Us」のエリー役などを好演し注目を集めている。
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