クラウドファンディング:日本のゲーム業界も注目の新たな資金調達

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インディーズゲーム「LA-MULANA2」のゲーム画面

 インターネットを介して、多くの人から資金を募る「クラウドファンディング」がゲーム業界でも注目されている。日本での認知度はまだ低いが、海外でクラウドファンディングを活用し、資金を集めることに成功した日本人も現れている。その仕組みと、実際に海外で資金調達したゲーム開発者の話から、現状を解説する。

 クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語。新しいアイデアを実現するための資金がないという人または企業が、ウェブサイトを通してアイデアを公開し、寄付や投資を募る。実際にクラウドファンディングを活用した例としては、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大学教授がiPS細胞の研究資金の寄付を呼びかけ、約2000万円の募金を集めたという事例がある。

 クラウドファンディングの長所は、個人でも簡単に出資できること。数百円程度から出資できるものが多く、誰でも気軽に支払える。また出資した見返りに物品を受け取れるものも多い。例えばゲーム開発資金を集める場合、ゲームが完成した後に出資者に製品を送るという方法がある。出資者にとっては予約購入のような形でわかりやすく相性がいい。

 日本では今のところ認知度は低いが、ゲーム業界での導入はまずまずの成功をおさめている。かつてカプコンで「ロックマン」などのゲームを開発した稲船敬二さんは、自ら立ち上げたゲーム会社comceptで「Mighty No.9」という新作ゲームを発表。クラウドファンディングで出資を募ったところ、約7万人の出資者から計400万ドル以上の資金を集めることに成功した。

 ゲーム業界で特に注目されているのが、個人ないし数人単位でゲームを開発するインディーズゲームの開発費用を、クラウドファンディングに求めるという方法だ。インディーズゲームの開発グループの「NIGORO」は、新作のPC向けアクションゲーム「LA-MULANA2」の開発資金を調達するため、米国のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で出資を募った。今年1月からの約1カ月間で、約4500人から約23万ドルを集めた。

 インディーズゲームの開発は専業ではなく、他の仕事をするかたわらで進めるのが一般的だ。NIGOROのディレクター楢村匠さんは、当面は開発に集中できる環境を整えるため、クラウドファンディングを活用したという。前作「LA-MULANA」が世界的にヒットしたこともあり、希望額の20万ドルを超える資金調達に成功した。

 しかし問題もある。プロジェクトの内容に共感した人が出資するというのが、クラウドファンディングのコンセプトだが、完成したゲームのほかにオリジナル特典も用意するなど出資者への見返りの部分が想定以上に目立ってしまっている。少人数のため、肝心のプロジェクトのためのリソース確保にも苦心している状態で、特典への新たな負担は、プロジェクトの進行にも影響を与える。さらに、ゲームができていないにもかかわらず、特典のためのイメージアートや音楽だけが先行し、開発の手順が狂ってしまう問題点も指摘されている。

 Kickstarterの利用に際しても、米国の習慣に合わせた効果的な宣伝方法など、ゲーム開発以外の研究と試行錯誤があったという。楢村さんはクラウドファンディングに魅力を感じるとしながらも、「ゲーム作り以外の仕事が倍増した。元来のクラウドファンディングに見られた“光るアイデアを実現するため”ではお金が集まらなくなっているのではないか」と語る。

 クラウドファンディングにはまだまだ課題も多いが、仕組みとしては単純で参加しやすく、大きな可能性も秘めていることは間違いない。ただ、今のところクラウドファンディングで資金調達した日本のゲームは、そのほとんどが開発中でまだ世に出ていない。まずは、4億円もの大金を集めた稲船さんのプロジェクトがビジネス的に成功を収められるかどうかが試金石となりそうだ。日本でのクラウドファンディングの普及だけでなく、インディーズゲームの動向をも大きく左右するだろう。(石田賀津男/フリーライター)

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