SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、サンカクヘッドさんの「干物妹(ひもうと)!うまるちゃん」です。集英社「週刊ヤングジャンプ」編集部の大熊八甲さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
本作は「家の中では、食う!寝るzzz遊ぶ♪干物な妹がカワイイ新型兄妹コメディ」をキャッチフレーズに、現在の “妹に手厚い週刊ヤングジャンプ&コミック界”にあえて斬り込んだ末、“干物女子の妹版”という“新たな妹像”の創出を試みた意欲作です。
この作品の魅力は、第一に、主人公“うまる”の外の姿(美妹=びもうと)と家の中の姿(干物妹)のキャラギャップの可愛さです。主人公うまるは、外ではミンナがうらやむ完璧女子高生。しかし、家では、あっちにゴロゴロこっちにゴロゴロ、干物で怠惰な妹です。この隙を(実は)信頼している(兄)タイヘイにだけ見せているというプレミア感のある可愛さが、このキャラの魅力です。(クラスで)(職場で)(街で)見かけるアノ娘も実は……家では隙だらけかもしれません。そんな夢(?)のあるキャラなのです(笑い)。
第二に、うまるの行動に共感できる!ことです。うまるの行動は、即物的で、欲望に忠実(笑い)。食って!寝てzzz遊んで♪また食っての繰り返しです。ネット通販、SNS、オンラインゲーム、ジャンクフードなどなど、お行儀が悪いけど楽しくてやめられない! モノを我慢しません。楽しく、コーラを飲み、フィギュアをめで、ゲームをして、寝続ける。その姿にぜひ共感してもらえるとうれしいです。
−−作品が生まれたきっかけは?
毎巻のコミックス巻末に創作秘話があるのですが、最初のきっかけは、サンカクヘッド先生の引き出しの中身を探っていた所、実際に妹さんがいるというのがきっかけでした。そして、これまではギャグマンガとして「爆笑」か「空振り」かという、大振りだった「笑い」の狙いを、クスリと笑えるコメディーを意識し、コンパクトに当てにいきましょう!とお話ししました。最後に絵柄を、サンカクヘッド先生の魅力的な『個性』を残しつつ、一般性をもった魅力に進化してもらいたいということを話し合いました。
まとめると、サンカクヘッド先生が、楽しく描けて、知識があって、多くの読者に受けるキャラとジャンル。爆笑を狙い過ぎないキャラのカワイイ魅力を増加させる微笑(コメディー)。個性を残しつつ、広く受け入れられるよう絵を意識してもらうこと。もっといろいろありますが、主にこの三つがこの作品が生まれたきっかけですね。
−−タイトルの「ひもうと」ですが、どういうきっかけから思いついたのですか?
単純にシンプルな語呂合わせだったと思います。カワイイあの娘が自分たちと同様に家では怠惰だったら良いギャップだな! 心の距離が近まって好きになるな!という発想があって、「干物」という良いギャップをくっつけたカタチです。
−−うまるの「外」と「内」の差があまりにも違うことで人気です。ここまでキャラクターの見た目に変化を付けるアイデアの着想はどこからでしょう?
キャラクターを魅力的に見せる手法に、良いギャップというモノがあると思います。例えば、不良(周りからは恐れられている肉体言語の象徴)が猫にやさしい。すると、とたんにトモダチになれそうな気がする。完璧なイケメンがちょっとエッチなことに興味があったりする。とたんに男子は仲良くなれそうな気がする。こういった意外性があり(しかし悪過ぎない)、良いギャップがそのキャラと読者さんの距離を縮め、魅力を高めるのだと思います。うまるは、完璧美人女子高生という“高め”の娘から、実は皆同様に持っている怠惰(過ぎない)な娘というギャップが共感を呼び、人気をいただいてる所かと思います。
−−ツイッターの「うまるったー」ですが、ぐうたらなうまるの性格がよく出ています。こんなダメな考えを、どうやって毎日思いついているのでしょうか?
これは、うまるというキャラクターがしっかりと確立していて、誰の心にもいるし、あるということだと思います。うまるは、特段意識することなく日々思ったことをつぶやいています(笑い)。
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
担当は、うまるちゃん↑という発音で呼んでますが、サンカクヘッド先生は、うまるちゃん↓という発音で呼んでいます(笑い)。なぜか、そうなってしまっています。
−−今後の展開は?
テーマは「楽しい日常」ですが、裏テーマに「干物妹うまるの世界が徐々に広がって行くという兄妹成長ストーリー」でもあります。自分の素の姿を見せることができるトモダチができたり、トモダチの新たな一面や世界を知ったり、兄、妹のそれぞれの進路が決まったり、ゆっくり斜め軸くらいで進んでいきます。ぜひお付き合いくださいませ。
−−読者へ一言お願いします。
ぐうたらで落ち着きのない妹ですが、何とぞ、可愛がってやってくださいませ。努力家でうまるへの愛情が誰よりも豊富なサンカクヘッド先生と共に、うまるや兄タイヘイの日常をより多くの読者の皆様にお届けできるよう頑張ります!
集英社 週刊ヤングジャンプ 大熊八甲
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