アニメ質問状:「残響のテロル」 「核」という難しい題材と普遍的なテーマ

(c)残響のテロル製作委員会
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 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、「カウボーイビバップ」「坂道のアポロン」などの渡辺信一郎監督のオリジナルアニメ「残響のテロル」です。フジテレビの木村誠プロデューサーに作品の魅力を語ってもらいました。

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 −−作品の概要を教えてください。

 物語は、2人の少年、ナインとツエルブが青森の核燃料再処理施設からプルトニウムを強奪するところから始まります。2人は“スピンクス”と名乗り、目的不明の爆破を繰り返します。その過程で、警察側、米国側との攻防があったり、偶然2人と行動を共にすることになった少女との十代ならではの繊細なやり取りがあったりして、物語が進んでいきます。

 ジャンルをあえて定義するのであれば、監督が以前のインタビューでもおっしゃっていましたが、青春サスペンスアクションといったところでしょうか。

 −−プロデューサー目線で見た、この作品の魅力を教えてください。

 「残響のテロル」は原案者である渡辺信一郎監督の作家性が軸となっている企画です。(フジテレビの深夜アニメ枠)ノイタミナとしては「坂道のアポロン」という企画と共にご一緒することが決まりました。初めて企画のプロットを見た時は興奮しました。局としての立場でいうとヒヤヒヤする側面もありましたが、だからこそいろんなチャレンジに満ちていて、消費されずに残っていく企画になるような期待感がありました。中でもやはり「核」という題材を真正面から描いていることがポイントだったと思います。今の時代でエンタメに昇華することが難しい題材に、これはあえて立ち向かっていく企画なのだと思いました。

 ただ、私が「残響のテロル」で最も魅力的だと思っているところはそこではなく、そんな時代の風を意識して作っているにも関わらず、普遍的なテーマを真ん中に置いているところです。その詳細はまだ言えないのですが、最後までこの作品を見ていただければきっとお分かりいただけると思います。

 −−作品を作る上で楽しかったこと、逆に大変だったことは?

 シナリオ制作は楽しかったです。たとえば爆破のギミックを考える際、いろいろな専門家の方々に取材させていただいたのですが、本当に自分が知らないだけで危険はすぐ近くにあるんだなあ、と勉強になりました。その取材を基に攻防を考えていくのですが、監督やライターさんとシナリオを作っているとまるで悪い計画を立てているみたいになってきて……。はたから見るとちょっと危険な人たちになっていたかもしれません。

 大変だったのは、あんまりアニメっぽくない作品なので、メインビジュアルを考えるところで苦労しました。ロボットがいればロボットを背負わせられるし、剣を持っていたら剣を構えさせられる。でもこの作品は……というところで苦労しました。

 −−今後の見どころを教えてください。

 スピンクスたちや刑事の柴崎、米国から派遣されたハイヴにはそれぞれ立場を超えた目的があります。それは彼らのルーツに関係していたり、スピンクスたちが盗み出したプルトニウムに関連しています。

 テロとは、本来何らかの要求や思想とセットだと思います。しかし、彼らはまだプルトニウムというとても危険なものを所有しながら爆破を繰り返すだけで、何の要求も出していません。

 第8話以降は、それぞれのキャラクターのルーツが交錯しながら、スピンクスがプルトニウムを強奪した理由が、明らかになっていきます。第7話まではそれらをほとんど明かさずにゆっくりと伏線を張ってきたので、第8話以降のスピード感のある展開が見どころになってくると思いますね。

 −−視聴者の方へメッセージをお願いします。

 この企画は最終話で真価が問われると思います。ぜひ、最後までご覧いただき、それぞれのキャラクターの物語としての結末を見届けていただければと思います。

フジテレビ プロデューサー 木村誠

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