コミケ都市伝説:“売り上げ日本一のコンビニ”は本当か?

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 人の熱気で雲ができる、会場の現金自動受払機(ATM)が空になった……さまざまな都市伝説で彩られている日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(コミケ)。伝説では、期間中、日本一の売り上げを記録するコンビニエンスストアがあるという。コミケ会場となる東京ビッグサイト(東京都江東区)近くのローソン国際展示場駅前店だ。期間中、同店に大量の食料や飲料が搬入され、アニメのグッズを求めるファンの列ができる……というのは風物詩にもなっている。伝説の真偽を確認しようと同店を直撃した。

ウナギノボリ

 ◇おにぎり1日5000個 精鋭スタッフ40人で臨戦態勢

 コミケは、マンガや小説、ソフトなどさまざまなジャンルの創作物を扱った同人誌の即売会。1975年に始まり、現在は夏と冬の年2回、それぞれ3日間にわたって開催されている。開場前から長蛇の列ができ、昨年夏のコミケ84では3日間で鳥取県の人口約57万人(9月1日調査)を超える過去最多の約59万人が来場。数々の伝説はいずれも、同人誌や企業が販売するグッズを求めるファンの熱気のすさまじさを面白おかしく、わかりやすく表現したものだ。

 日本一の売り上げを記録するコンビニがあるという話もその伝説の一つだろうと思ったが、実際にローソンの関係者に取材すると、「国際展示場駅前店はコミケの開催中、ローソンでは日本一の売り上げです」と認めた。ローソン限定とはいえ伝説は本当だったのだ。

 ローソン関係者は同店について「そもそもほかの店舗よりも売り上げがいいのですが、コミケ開催中は、普段の約10倍の売り上げを記録します」という。コミケ期間中、同店ではおにぎりが1日約5000個と飛ぶように売れ、店の外には限定販売されるアニメ関連のオリジナルグッズを求めるファンで列ができるなどの大盛況。スタッフは通常は1日6人ほどだが、コミケ期間中は「スペシャリスト」と呼ばれる“精鋭”約40人を招集するなど、臨戦態勢で臨むという。

 ◇“同化”で成功 本気じゃなくちゃダメ!

 実は東京ビッグサイト内にもコンビニはある。だが、ローソン国際展示場駅前店がコミケ参加者の支持を集めているのは、コミケと“同化”しているからだ。同店は12年2月オープンの新しい店舗だが、12年夏のコミケ82では、「魔法少女まどか☆マギカ」などのオリジナルグッズを制作。店の外装も「魔法少女まどか☆マギカ」の幕を張るなど“コミケ仕様”にする徹底ぶりで、3000円の同グッズ3000セットが売り切れるほど人気を集めた。今夏のコミケ86では、「弱虫ペダル」のオリジナルグッズを売り出し、一時は約1000人が列を作るほどで、コミケのたびに売り出される同店のオリジナルグッズはファンの間ではもはや定番となっている。

 同化しているのは商品だけではない。店内には、アニメに造詣が深いスタッフによる手描きPOPを用意するのも恒例となっている。ローソン関係者は「スタッフは経験豊富なので、手描きPOPなどは厳しくコントロールするのではなく、ある程度は任せています」と話すように、スタッフのあふれる情熱を抑えないことも同化につながっているという。

 また、「コミケに合わせて特化した店舗にすることを考えている。中途半端にはできない」「オリジナルグッズには当たり外れもあるので、精度を上げていきたい」と語っており、店を挙げてコミケを盛り上げようという“本気さ”が伝わってくる。ローソン国際展示場駅前店の“本気”は今後も注目を集めそうだ。

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