きょうは会社休みます。:“こじらせ女子”ヒロインに共感 綾瀬ドラマ好調の理由

ドラマ「きょうは会社休みます。」で主演を務める綾瀬はるかさん
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ドラマ「きょうは会社休みます。」で主演を務める綾瀬はるかさん

 女優の綾瀬はるかさんが主演するドラマ「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系、水曜午後10時)が好調だ。これまでの平均視聴率は初回が14.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)、第2話は17.0%、第3話は17.1%、第4話は17.3%と4週連続で右肩上がりに推移。12日放送の第5話は15.8%だったものの15%以上と好調をキープしている。綾瀬さん演じる恋愛経験ゼロの“こじらせ女子”の奮闘は、原作にはないオリジナルの等身大ヒロイン像を作り上げ、共感を得ている。昨年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補語にも選ばれた旬な言葉“こじらせ女子”をキーワードに、ドラマの魅力に迫る。

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 ドラマは、恋愛経験ゼロのまま30歳の誕生日を迎えてしまった地味で目立たない会社員の青石花笑(綾瀬さん)がひょんなことから年下の大学生・田之倉悠斗と付き合うことになり、初めてのお泊まりや初めての2人っきりの旅行など、さまざまな“初めて”を経験していく……というストーリー。花笑と恋人同士になる9歳年下の田之倉を俳優の福士蒼汰さんが演じ、恋をしてきれいになっていく花笑に興味を持ち、何かとちょっかいを出す35歳のイケメンCEOを玉木宏さんが演じており、花笑を巡る年下と年上のイケメン男性2人の三角関係も見どころの一つとなっている。

 ◇“こじらせ女子”の起源は?

 “こじらせ女子”は2011年12月に出版された雨宮まみさんのエッセー「女子をこじらせて」(ポット出版)から派生した言葉で、自らの女性性に自信が持てなかったり、自意識にとらわれ、世間でいう“女性らしさ”に抵抗を感じ、生きづらさを感じている女性のことを指す。「2013 ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にも選ばれ、「モテキ」で知られるマンガ家の久保ミツロウさん、エッセイストの能町みね子さん、音楽プロデューサーのヒャダインこと前山田健一さんの3人が“こじらせトーク”を繰り広げるフジテレビの深夜番組「久保みねヒャダこじらせナイト」(毎週土曜深夜1時35分)が13年10月からレギュラー放送を開始するなどメディアでも取り上げられるようになり、一般にも浸透した。

 ◇モノローグと妄想シーンが“お約束”

 ドラマ化にあたって、綾瀬さん演じる30歳にして恋愛経験ゼロのヒロイン・花笑を“こじらせ女子”と設定し、9歳年下のイケメンの恋人ができたものの、こじらせているがゆえに初めての恋愛に傷つき、迷い、悩む姿を描いている。ドラマでは自分に自信がないあまり、せっかくできた恋人にも疑いの目を向けたりする花笑の心の声を表すモノローグが特徴で、花笑の“こじらせ女子”ぶりを際立たせている。また、両親に恋人を紹介することになった花笑が「恋人が大学生ということを知らされた父親がショックで倒れてしまい、医師から『急性娘の彼氏が若過ぎ症候群』と診断される」と妄想するシーンや、若くて可愛い強力なライバルの登場に戸惑った花笑が「『田之倉杯争奪女流決定戦』という将棋の勝負で『愛嬌』や『女子力』『若さ』という駒でライバルに負けてしまう」という妄想がふくらむシーンなど、毎回、花笑の妄想がさく裂。“こじらせ女子”の花笑を表現する凝った妄想シーンが“お約束”のコメディー場面になっている。

 ◇綾瀬はるかのハマり役

 綾瀬さんは2007年と10年に同局系で放送され、映画化もされたドラマ「ホタルノヒカリ」で恋愛を半ば放棄してぐうたらに過ごす“干物女”を演じたことでも話題になった。今回も“こじらせ女子”という現代女子のリアルな側面を言い表したヒロイン像が綾瀬さんの持ち前の“天然キャラ”とピタリとはまったといえそうだ。

 “こじらせ女子”は自分に自信のない女性の陰の部分を表す面もあったことから、これまでは否定的なニュアンスで語られることも多かったが、初めての“こじらせ女子”をキャッチコピーにした同ドラマで、13年の大河ドラマ「八重の桜」に主演した“国民的女優”ともいえる綾瀬さんがヒロインを軽やかかつコミカルに演じたことで“こじらせ女子”への否定的なイメージが払拭(ふっしょく)され、一般に受け入れられやすくなり、多くの視聴者の支持を得たといえる。

 市民権を得た“こじらせ女子”。そんなキャラクターの花笑と9歳年下の田之倉の恋という王道ラブストーリーと同時に、“こじらせ女子”としての花笑の妄想エピソードにも注目したい。

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